怖い話朱い塚-あかいつか-

橋の下のキャンプ

投稿者:夏目さん




僕の親友に竜ちゃんと呼ばれている(または、竜さん)

怪奇に詳しい同級生がいる。

何かあったり困ったことがあると、竜ちゃんに相談するが、

そのたびに「厄介ごと持ってきやっがて、クソヤロー。」と

言われている。

だけどいつも助けてくれる。

相談事は、たいてい幽霊のことや心霊スポット、

都市伝説ことである。

心霊スポットや自殺の名所にいっしょに行こうと、

誘うと「一人で行って死ね。」って言われるのがおちである。

 そんなある日、「竜ちゃん、竜ちゃん。」

「なんだよ。」

「キャンプしない?」

「はぁ?」「ちょっと山いったところに、いい川があるからさ、

雅則誘っていかない?」

「あぁ、別にいいけど。」

「じゃあ、今週の土日で。」

雅則とは、僕の友人で、のりがとてもいい。

ムードメーカーでもあるしトラブルメーカーでもある。

ちなみに僕を心霊スポットや自殺の名所に誘うのは、

いつもこいつである。

お調子者で、竜ちゃんは、こいつの扱いに慣れている。

 土曜日に、竜ちゃんが車で迎えに来てくれた。

「やっほー。竜ちゃん。」

「うるせー、黙れ。」

後ろを見ると雅則が熟睡している。

「早く乗れ。」竜ちゃんがせかす。

「うん。」

「場所しらねーから教えろ。」

「分かった。」

と言ってから車に乗り込んだ。

そこまで遠くないので、「そこ右、そこ左。」と言うと

「もう少し小さい声でしゃべれ。うるせーから。」

と竜ちゃんが、毒づく。

30分ほどで着いた。

そこは、鉄の橋があり、近くにお地蔵様が祭ってあった。

「さぁ、着いた、着いた。」と雅則が大きな声で、いう。

 竜ちゃんが「うるせー死ね。」と言い、

僕が「まぁまぁ。」となだめる。

ふと、竜ちゃんが「あっ、俺ここ見たことあるなぁ。」といった。

僕が、「えっ、きたことあるの?」と訊くと

「いや、ない。だが、ネットで見たことがある。」

僕は、「ふーん。」と言う。

「おーい早く来いよ。」と雅則が後ろを振り向きながら言った。

見ると、橋の脇に小さな階段がある。

雅則は、「先に行ってるぞ。」

と言いながら降りようとすると、足を踏み外して

数段落っこちてしまった。

僕は、「あははははははは。」と笑い

竜ちゃんは、「あほかアイツ。」とため息交じりで毒づく。

竜ちゃんは、アウトドア派なのかテントをすぐに組み立て、

大きな石で、かまどを作っていた。

僕はというと、枯れ草や松の木を集めていた。

で、雅則は、「キャンプだ、キャンプだ。」とはしゃぎながら、

河原の上で跳ねていた。

竜ちゃんが「おい、雅則、夏目と一緒に薪拾ってこい。」というと、

「おう。まかせとけって。」と言いながら拾ってきたが、生木だった。


夕方にご飯を食べた。ご飯は、カレーうどんだった。

雅則が米の代わりに持ってきたのだった。

夜、火にあたり、酒を飲みながら、月と星を眺めていた。

と、「あっ、思い出した。」と言った。

「なにを、思い出したの?」と僕が聞くと、

「俺がここについたときに、見たことがあるといっただろ。

「うん言ったね。」

「なにを思い出しったて?」

雅則も聞くと「ここ、自殺の名所の一つだ。」

僕が、「へ?」と言うと、

「自殺って,...」

「飛び降りのな。で、ここは、自殺者の霊が出るらしいぞ。」

僕はつばを飲み込む。

雅則は、「え?マジで。」と訊くと

「マジだよ。」と普通にいった。

沈黙が流れる。と雅則が「寝て忘れよう。」と言った。

僕も賛成だった。

竜ちゃんもうなづく。

僕らは、テントに入った。そして、静かに目を閉じた。

真夜中に物音がして、目を覚ました。

テントの周りを何かが徘徊している。

僕は気になって、少しの隙間に近づいて、見てみた。

それは、どす黒い人の形に近いものだった、

僕は「うわぁ。」と声を上げようとしたら、

後ろから、両手でがっちりと口をふさがれて

「ぐむ、むぐぐぐ、もごもご。」

といったくぐもった声しか出なかった。

竜ちゃんだった。

竜ちゃんが僕の耳元で「大きい声を上げるな。」と静かに言った。

外にいるそれには、聞こえていなかったらしく、

とりあえず、ほっとした。

竜ちゃんが「睡眠薬を飲んで寝ろ。」言い

睡眠薬をわたされた。僕はそれを飲んで、眠りについた。

翌日、早起きした竜ちゃんに昨晩のことを聞いてみたところ、

あれは、魔物化した幽霊だといわれた。

さみしくなって死んでいった人の負のオーラが

年々大きくなっていってああなったらしい。

「あいつは、声に敏感だから、お前が大声を出していたら、

見つかって俺たちはもうこの世にいなかった。」と付け加えた。

僕は、ぞっとした。あの時竜ちゃんが止めてくれなければと思うと、

竜ちゃんに感謝した。

そして僕らは、この河原を去った。

もうここには来ないと心に、神に誓った。

   



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