朱い塚-あかいつか-

塚神さま

投稿者:マツさん




私の生家の右隣には小さな山があります。

そこにはある霊が奉ってあり祖母はその霊を

「塚神さま(ツカジンサマ)」と呼んでいました。

その霊が祖母の一族とどんな関係があるのかは知りません。

祖母も、その先代も先々代も理由は

よく分かっていなかったそうなのですが、

それでも先祖代々のしきたりとしてその霊に榊や水を供え、

経を唱え大事に供養してきました。

供養しなければ祟りがあると皆信じていたそうです。

さて.. どこの家にも常識外れというか

型破りな人間がいるもので、

祖母の父がある日その塚神さまに大変な事をしてしまいます。

当時祖母の家は山の上の塚神の隣だったらしいのですが、

酔っ払った曽祖父が塚神さまになんと小便をかけてしまうのです。

「祟りがあるもんならみせてみろ」と

暴言を吐きながら...さて祟りはあったのでしょうか。

祟りかどうかは分かりませんが祖母の家の男子は、

決して幸せな人生は送れませんでした。

一人は柿の木から転落して半身不随、

もう一人は幼くして脳性麻痺に、

もう一人もかなりの難病を背負います。

また一人は幼少にして亡くなります。

こういった事情で5人兄弟のうち3人は

兵役を免除されたのでした。 (一人は戦死)

田舎の郷士の出ではありながら資産家として裕福だった祖母の家は、

それから没落の一途をたどります。
(戦争という時代背景もありますが)

資産、田畑など全て無くなり頼りになる男子は

全て医療擁護施設に入ることになるのです。

家督を継げる男子がいなかったので結局祖母が

その塚神さまを供養することになりました。

祖母の次女になる私の叔母は

その塚神さまについて霊能者に相談しました。

最初の霊能者の話ではその塚に祭ってある

霊について次のような話をしたそうです。

その霊は300年以上前の武将の霊であること。

今以上に手厚く奉られる事を望んでいること。

当時、末娘である私の母が難病にかかっていたこともあり、

祖母は早速「祠」を新たに作ってもらい

祭司を呼んで祝詞をあげてもらいました。

それから数年後、今度は次女である叔母が母と同じ難病にかかります。

塚神さまのことをとても気にしていた叔母は

今度は違う霊能者に霊視を依頼しました。

すると.. その霊はまさに「触らぬ神に祟り無し」であること。

一切そばにも寄らないようにと言われたのでした。

結局私の母も叔母も発病してあっという間に亡くなってしまいました。

あとに残された祖母は強運な人だったのかもしれません。

祖母は最後まで塚神さまを供養していました。

その祖母も亡くなってもう7年以上。

その塚神さまを奉るべき人は私の姉なのですが、

放ったらかしにしています。

その塚神さまの地下には財宝が

埋まってると霊視した人が何人かいましたが、

掘り起こす気はさらさらありません。

あの山の中にある祠が今どんな様子なのか考えるだけでぞっとします。


   



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