怖い話朱い塚-あかいつか-

犬鳴峠

投稿者:ひろくん@熊本さん



福岡県に犬鳴峠という峠があります。

この峠には、犬鳴川が流れています。

そこでの話です。

私が大学生のころ、免許を取ってすぐ友達と3人で

福岡の大学に行った友達宅へと遊びに行きました。

そのころは誰も車を持っていなかったので、

一番免許歴の長い友達にレンタカーを借りてもらい、

その車で行きました。

真っ白なカローラの5MT免許取りたてで、

とにかくマニュアル車を運転したい時期でした。

大衆車のカローラでしたが、ずいぶんとはしゃいでました。

福岡の友達が夕方からなら遊べるよ、という返事で、

お昼はゆっくりと国道3号線を熊本から福岡へ

北上していきました。

ずいぶん寄り道をして行きましたが、

約束した時間に遅れることなく到着しました。

博多駅に夕方6時に待ち合わせて、

中州ラーメン屋台にラーメンを食べに行って、

それからドライブになりました。

その当時、九州のミステリースポットとして

故池田貴族も「すごいですねぇ」と言った

”犬鳴トンネル”に行ってみたいと思っていました。

福岡の大学に行った友達にそれとなく犬鳴トンネルの話を聞くと、

友達の大学でも かなり有名なスポットだそうです。

出口(福岡市と反対側)に公衆電話ボックスがあるのですが、



そこに幽霊が立っているのが見える、とか、

この公衆電話の受話器を取ると幽霊の声が聞こえる、とか。

また、トンネルの中には女性の霊が出るとか。

トンネルを走っていると、突然車を叩く音がして、

驚いてふもとのコンビニまで走ってから見てみると、

赤い手形が無数につけられていた、とか。

このトンネルを暴走族が走っているとき、

突然すべての車&バイクのエンジンが止まり、女性の幽霊が現れて、

暴走族のメンバーは走って逃げた、とか。

このような噂話は眉唾ものだと当時私は思っていました。

信憑性のない話はつまらないですもん。

犬鳴きトンネルに行ってみたいのですが、

もし幽霊が出たときはUターンしたくない、

という理由でかなり遠回りして犬鳴峠の反対側へと走っていきました。

車の中で犬鳴峠の話をしていると、

ひとりの非常に恐がりな友達が「やめようよ。」

と何度も言うので、嫌がる人間を連れては行けないと思い、

今回はやめようという話をしました。

せっかく犬鳴き峠の麓まできたのですが、

また来た道を戻ろうとUターンしました。

そして走っていたのですが、どうもさっきまでの道と違う。

あれっ、迷ったのかな?と思いながら走り、

小川にかかる橋にきたときに、

すごく気持ちが悪くなりました。

胸が締め付けられるような感じで、ひどく気持ちが悪い。

突然の吐き気、という感じでした。

橋のたもとに立っている、川の名前の書かれた看板を見ると、

”犬鳴川” 流れる川に近づいただけでこの気持ちの悪さ、

かなりヤバいところだと思いました。

でも、車は犬鳴峠に向かっているようです。

Uターンすればいいのですが、反対する友達には悪いのですが、

せっかくここまで来 たので行ってみようという気になりました。

山道に入り、次第に深くなっていく道の両側の木々を見ながら走っていきましたが、

ふと妙な視線を感じました。 木々の間からたくさんの視線を感じます。

そのとき友達が「トイレないかな?車止めてくれ。」と言うので止めたところ、

友達 も周囲の異変に気がついたらしくなかなか降りません。

「あれっ?もれるんじゃないの?」と私が意地悪く言うと、

「なんだか薄気味悪く て、車から降りれない。すごく怖い。」

そうなんです。木々の間にたくさんのひとの顔が浮かんで、こっちを見ています。

哀しいような怒ってるような顔。

ずっとつづく道の両側の木々に、ずっと顔が浮かんでいる。

車を走らせてしばらく行くと、

急に右側から威圧感を感じたので停車させて見てみました。

立入禁止の表示と車止めのパイロンの先には、トンネルがあります。



建築中にしては老朽化したトンネルです。

何故通行できないのかな?と思って見てみると、

トンネルの中から人影が沢山、ゆらゆらと出てきました。

一緒に行ったメンバーには見えていなかったようですが、

すごく怖い表情をしていました。

あまり近づかれないように、早々に車を走らせました。

道の右側には小川が流れています。

ガードレールがありますが、先ほどの気持ち悪さもあって

非常に神経質気味に運転しました。

くねくねとつづら折りになった峠道を上っていくと、開けた場所があります。

真っ正面にトンネルの入り口が見えます。

ここが有名な犬鳴トンネルか...

と思いながら、ゆっくり走りました。

入り口左側に電話ボックスがあります。

幽霊が出るという噂のある電話ボックスなので、

見えるかな、と思ってじっくりと見てみましたが、

しろいモヤみたいな物しか見えません。

と、後ろから「!!」と声にならない驚きの声(雰囲気)があがりました。

ルームミラーで見ると、驚愕の顔をしています。

何かを見たのでしょう。

この場で騒いでパニックになることのほうが恐ろしいので、

聞きたいのを抑えてトンネルの入り口を見てみます。

ゆっくりとトンネルへと入っていきました。

トンネル内部を照らす電灯は光々とついてかなり見通しはいいのですが、

どうも胸を押さえられるような圧迫感があります。

これは何かあるな、と思い慎重に運転しました。

体感で1kmはあったと思います。

かなり長いトンネルのような気がします。

ちょうどトンネルの中央まで来たでしょうか。

トンネルの天井に届くような非常に大きな女性の霊。

見下ろすような角度で、口から血を流して

恨めしそうな目でこちらを見ています。

全体的に白い印象を受けました。

とても怖いのですが、途中でUターンすることもできず、

女性の幽霊を突っ切って行きました。

トンネルを出て、先ほどの女性の幽霊のこともあり、

ゆっくり走ろうと思っていた矢先に、

突然アクセルが踏み込まれました。

足下からアクセルペダルのなくなる感覚。

そして、急に上昇する回転数。

パニックです。

道は相変わらずのクネクネとした山道の下り、とっても焦りました。

クラッチを切ってシフトダウン。

エンジンブレーキでスピードを落とそうとしました。

足下に何かがいる感覚で、怖くてブレーキが踏めませんでした。

うっそうとした山道、木々の間からいくつもの首が浮かんで、

こちらを見ていました。

ふもとのコンビニにたどり着くと、

ようやくブレーキを踏んで止まりました。

とにかく、運転席にはいたくなかった。

白のレンタカーだったので、赤い手形がついてたらどうしよう、

とビビって車を見て回ったのですが、

無傷でした。

同乗者も黙っています。

そして、助手席の後ろに座っていた友達が言ってきました。

「トンネルの手前に電話ボックスがあったろ?

あそこで電話しているおじさんを見なかった?」

後ろに座っている二人には見えたようです。

私には白いモヤみたいなもの、

助手席の友達には何も見えませんでした。

トンネルの中の女性の幽霊は私以外、誰も見ていません。

ただ、みんないきなり気分が悪くなったといいます。

それと、非常に寒くなった、と。

物理的な影響を受けたのは、現在まででこれだけです。

それがとっても怖いんです。

普通一般的な幽霊話って、見たとか聞いたとかで、

物理的な影響を及ぼすものはあまりありません。

だから、物理的な影響をおよぼすことができるほど力があるんですよ。



あともう一つ、このトンネルにもこのような噂があります。

深夜、ドライブといって前に男二人、後ろに女二人乗せた車が走っていきます。

運転手の男はとっても明るいのですが、

この夜は山道を走っていくにつれてだんだん無口になっていきました。

そして、顔色は次第に真っ青になっていきます。

異変を感じた助手席の友達は、

「どうしたんだ?気分でも悪いのか?」と訪ねます。

すると、運転していた男は助けて欲しそうな目で助手席の友達を見ました。

「友達だよな、逃げないよな。」

何を言ってるんだという顔で助手席の男は返します。

「あたりまえだよ、友達だもん。」

すると、運転している男は車を止めて、

ゆっくりと足下に視線を落としました。

運転手の両足を、シートの下から伸びた二本の手がつかんでいます。



助手席の友達と、後ろに座っていた女二人はさらにのぞき込むと、

そこには真っ青な顔をした、

目が真っ赤な女性の霊がシートの下からみんなを覗いていました。

助手席と後部座席の3人は叫び声をあげて車を飛び出しました。

そして30分が経ち、恐怖感が薄れてきたので

逃げたことへの罪悪感が出てきたのでしょう、

3人は恐る恐る車へと戻ってきました。

そして、車の中をのぞき込みます。

...誰もいません。

それから、運転していた男は警察の捜索でも見つかりませんでした。

この話は各地にあります。

犬鳴きトンネルも同じような話がありました。

私も創作だろうと思っていましたが、

アクセルを踏み込まれるという物理的な体験をしましたので、

こんなこともあるんだろう、と思っています。

文章にするとあまり怖くはありませんが、これまでとは異質の体験でした。

ここは二度と行きたくない場所です。


   



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