青木ヶ原で

怖い話

青木ヶ原で

投稿者:しゅんじさん


この話は、「してはならない話」なのかもしれません。
昔、富士山麓の青木ヶ原樹海で、仲間と死体探しの
アルバイトに参加したことがあります。

観光名所でもある風穴や氷穴の近くでのこと。

一帯には縦横無尽に遊歩道が伸びていて、

「本当にこんなところで自殺する人がおるのかな!?」
と思ってたら、 あるわあるわ
御遺骨、御遺品、御供物、古い花束などなど……
たいがいは動物によって散乱しているのですが、
2日間で1体だけ、
完全体の新しい仏様も運良く無事に
保護することができました。
実際、頭蓋骨がない御遺骨が大多数なのですが、
それは、それ以前の捜索で発見され、

持ち返られたためだそうです。

そして、“あれ”を見たのは2日目の夕方でした。

いつものようにローラー作戦 (5m間隔で横1列になって捜索する方法)で、

静かで薄暗くて凸凹だらけの樹海を歩いてますと、
「うわぁぁぁ!!」

急に仲間が悲鳴を上げたのです。

彼の視線の先を見て、ぼくらも悲鳴をあげました。
ぼくらの頭上にある木々の枝という枝から、
数十本に及ぶ首吊り用ロープの輪がぶら下がっていたのです。

おまけに足元にはおびただしい数の人骨が散乱しています。

単体のロープなら珍しくはないのですが、
これだけ密集して数があるというのは尋常ではありません。
係の人は、 「あそこはもう捜索済みだからいいんだ」と言うだけで、
詳しい話をしてくれません。
イメージとしては“象の墓場”みたいな感じで、
なんとなく神聖な、それでいて恐ろしい……

その情景こそが、 ぼくにとっての「富士の樹海」になり、

今でも記憶の中に強く刻まれています。

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