犬鳴峠

怖い話

犬鳴峠

投稿者:西虫さん

今から10年前、高校を卒業した頃の話です。
以前から憧れていた400ccのバイクを買い、
当時付き合っていた彼女と2人で

犬鳴峠に肝試しがてらドライブに行きました。
すると途中、迷うはずもない道なのに
いつまでたっても山道を行ったり来たりしているような

感覚に襲われていたのです。
彼女も私の様子に気づいていたのか、
いつの間にか会話は無くなっていました。

霧も濃くなってきて20m先ぐらいはほとんど見えない状態でした。

コーナーの曲がり角に1本のコーナーミラーが立っています。
それを目印にさらに先へと進むと、
さっき見たはずのコーナーミラーがまた立っているのです。
恐怖と早く逃げ出しという思いから、更にアクセルを吹かし、
無我夢中で運転しました。
すると、目の前にトンネルらしきものが現れました。

これが犬鳴の旧トンネルかと思い、一瞬ためらいましたが、

一気に加速してトンネルを抜けようとしました。

すると・・・天井に下半身が壁に埋まった女が逆さでぶら下がっていたのです。

もう恐ろしくなって猛スピードでトンネルを通り抜けました。
少しホッとしたものもつかの間、後ろの彼女が
私をつかむ腕の力が急に強くなりました。

あまりの力強さに息苦しくなり、何事かと声を出しましたが返事が有りません。
恐る恐る後ろを振り返ってみると彼女は
何かに取りつかれた様に青白い顔をしていました。

そして、一言、確かに言ったのです。
「髪が上手にすけないの・・・」

その後は、あまりの恐ろしさに私もよく覚えていないのですが、

とにかく早くその場を離れなければとだけ思っていました。
何とか大きな通りまでたどり着き彼女を連れて
家まで帰ることができました。

後日、彼女にその話を聞くと彼女はまったく覚えていないと言います。
しかし、さらに驚いたのは、その日の朝、
彼女は異常なまでに髪が抜け落ちたというのです。

一体、あの時見た女性の霊は何だったのでしょうか?
おそらく、自殺か何かをした女性に彼女は
取り憑かれてしまったのかもしれません。
その後、彼女とは別れてしまいましたが、
特に大きな事故にもあっていません。

あの日の出来事は一体何だったのでしょうか?

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