21世紀の森で

怖い話

21世紀の森で

投稿者:緑茶さん


K子の話番外編、幽霊を信じていなかったK子の弟の話です。

K子より五つ年下の弟は幽霊を信じてはいませんでした。

そう、2年前までは・・・。

山口県山口市に「21世紀の森」という森林公園があります。
その管理事務所の側は、20台ほどの駐車スペースがありますが、
そこは有名な心霊スポットです。
駐車場の中程あたりのスペースのひとつに
「駐車禁止」の斜線が引いてあります。

とても不自然に一台分だけ。
そして、どんなに込んでいるときにも県内の人間は
そこに駐車することはありません。

その駐車スペースで以前、車内焼身自殺があったそうです。
以来、そこで怪奇現象が多発。あまりに有名になったために
管理事務所が駐車禁止の措置をとったのです。

県内の若者には誰に聞いても知っているという有名なお話。
大学一年生の弟は、友人の誘いで「21世紀の森」に
肝試しに行くことになったそうです。
夕方、実家を出た弟たち3人組は一時間半程度かけて
現場に向かったそうです。

時間は夕方7時頃。夏のことです。
西側に山があるため、ここの駐車場には夕焼けはなく、
あたりは夕闇に包まれていたそうで。

駐車場には二台停まっていましたが、車内に人の気配はなかったそうです。

見ると、例の駐車場の側に男の人が数人座っていたそうで。

「何もないじゃん」といったそのとき、「おい、おまえら、車に乗れ」

と、友人のSくんが焦った声で言ったそうです。

弟とKくんは訳の分からないままも、大急ぎで車内に戻ったそうです。

車の中から、外を見ると駐車場に座っていた男達はいなくなっていたそうです。
かわりに、少し離れた駐車場の枠から外の、
山の斜面に3人ほど人が立っていたそうで。

真ん中のひとりは鮮やかなオレンジの光に包まれていたそうです。

夕日はそこにはもうかけらも残っていません。

薄闇の中で、光の理由になるようなものは周囲にまったくありません。

そして、道もなにもない山の斜面にゆっくり歩いていったそうです。

弟たちは大急ぎで車を出して逃げ帰ったそうです。

現場を離れてからわかったそうですが・・・。

見たのは、弟とSくんだけ。

Kくんにはこれが見えなかったんだって。

一緒に見ていたのなら勘違いで済むけど、ひとりだけみえなかった。

こういうこと、よくあるんだよね、とK子は言っていました。

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