投稿者:どかちんさん
私が中学生の頃、両親が二人きりで旅行に出かけたことがありました。
いつも計画的な父は何故かこの時宿泊先を決めず、
出先で空き部屋を探すことにしました。
その観光地はそこそこ有名な場所でシーズン中ということもあり、
どこも満室でした。
ある旅館は新館は満室だが旧館は空き室有りとのことで、
とにかく泊まれればいいと思っていた両親は即チェックイン。
しかし旧館に案内されて「この建物ちょっとおかしいな」と思ったそうです。
どこも満室なのにこの旧館には自分達以外に宿泊客はおらず、
しばらく使われていなかったようでカビ臭い匂いもしました。
又、新館と旧館の間には立派な庭があるにもかかわらず
新館側の窓は全て板で塞がれていました。
そして深夜に事件は起こりました。
布団の中でうつらうつらしていると部屋のふすまが
カタカタと揺れ始め、最初は風のせいだろうと思っていましたが
いっこうにおさまらず揺れはだんだん激しくなり、
最後はバン!バン!と人が向こうから
蹴破ろうとしているかのようにひどいものになりました。
びっくりした父は
「誰だ!そこにいるのは!」
と怒鳴りましたが相手は無視。
部屋に入ってこられそうになった為、
父は必死にふすまを押さえ、母はどうすることもできませんでした。
こんな状態が朝まで続いたそうです。
翌朝チェックアウトする際、父はあることに気づきました。
旧館一階の壁のある一定の高さに線が走っており
その線より下が茶色く変色しているのです。
又、それは旧館だけではなくこの街の古い建物全てにあり、
気になった父がその事を街の人に聞いて分かったことは・・・。
その街では昔、大洪水があって大勢の人が亡くなり、
壁についた線はその時の水位の跡だということでした。
母は「今思うと怪奇現象の予兆みたいなものがあった」と言っていました。
庭で一人でしゃがみこんでいる小さな女の子がいて、
じっとこちらを見てるとか、
他に宿泊客はいないはずなのに廊下ですれ違った人がいるとか、
とにかく普通じゃない雰囲気があったそうです。
ちなみにこの旅館からはいまだに招待状が来る・・・。