処刑図
長沢蘆雪(ながさわろせつ) 処刑図
470cm x 34cm肉筆紙本
今回非常に珍しい処刑図の巻物を入手しました。
こちらは心中の図でしょうか。
女性が首を吊り、男性が首に刀を刺して死んでいます。
右側に遺族・僧?と思われる3人が泣いています。
絵から想像するに、不倫の果ての心中…
遺族が連れ帰ろうと(もしくは斬り殺す、刀を持っているので)したところ
心中を発見したという感じでしょうか?
江戸時代、不倫も犯罪でした。
江戸時代末期は多かったようです。
次は火刑の図(火あぶりの刑)
猛烈な炎ともうもうとあがる煙が描かれています。
首に鎖のようなものを付けられ、木につながれています。
足元には薪や藁が置かれ火がつけられています。
江戸時代、放火を犯した罪人は火あぶりの刑に処されていました。
続いて斬首の図
左から進行していくとみるとわかりやすいですね。
左から斬首する直前(土壇場に引き出された場面)
目隠しされ、首を斬られる。
斬られた首は「獄門」と呼ばれ、三日三晩さらされます。
時代劇で言う、「打ち首、獄門」はこれです。
三日三晩晒された首はそのあたりに打ち捨て。
絵では獄門台のたもとに頭蓋骨が転がっています。
実際には野犬が増えるので土に埋めていたようです。
つづいて磔(はりつけ)の図。
はりつけ台に縛られ、下から槍で二方向から刺されます。
槍役は「アリャ、アリャ」と言いながら刺し、
とどめは首への一撃。
刺されている罪人は苦悶の表情を浮かべています。
すぐには死ねないので苦しい刑の一つでしょう。
つづいて鋸挽きの刑(のこびき)
街道沿いに罪人を首だけ出して埋め、
首のあたりに竹でできた鋸(のこぎり)を置いておき、
道行く人に引かせるという刑です。
実際に鋸を引いた人もいたようですが、
ほとんどの人がしなかったので、後に形式刑となって
三日三晩この姿で晒した後、磔にされたそうです。
さらに最後は牛裂きの刑
手足に縄をかけ、その縄を牛につないでおく。
牛の背中やお尻に火をつけるなどして暴れさせ、
言葉通り「八つ裂き」にする。
一瞬で終りますが残虐な刑だったので江戸時代には
ほとんど行われなかったようです。
戦国時代に行われたようです。
長沢蘆雪の印でしょうか??
長沢蘆雪でなくても結構貴重な資料であると思います。
長沢蘆雪
江戸後期の画家で山城国淀藩士の上杉家に生まれる。
画法を円山応挙に学び、独自の画境を開いた。
宝暦4年(1754)生れ、寛政11年(1799)没、45才。