からみ合う視線

怖い話

からみ合う視線

投稿者:サルーキさん

ダムサイトのお土産もの屋さんで働いている友人から聞いた話です。 そのダム湖は釣りをするにもなかなかの場所で
夜中に移動して朝早くから釣りをする

常連の人たちが結構いるそうです。
ダム湖に行くには、トンネルとスノーシェッドが
車で走っても40分~50分延々と続く

道を走るしかありません。
店がヒマだった友人は飲み物を買いに来た
釣りの常連のお客さんと釣りの話でしばらく盛りあがり、

意気投合、するとお客さんが

「釣りはいいんだけど、トンネルがイヤだね」と。

「トンネルの中、いつでも濡れてますからね」

「いや、そんなんじゃなくて、ナンバー○の辺りでいつもイヤなことがある」
トンネルは長いのや短いのがあってひとつひとつにナンバーがふってあります。

その中のひとつを言うお客さん。

「イヤなことですか?」

「うん、一番イヤだったのはいつものように一眠りして、家を出たのが午前1時。

で、○○ライン(ダム湖までの道の名称)に入ってそのナンバー○のトンネルまで来たら

運転席の左のコンソールボックスのふたがカパッと開いてね、

よく閉まってなかったのかと見もしないで閉めたんだよ。

そしたらすぐにまた開いてなんか挟んじゃったかと今度はちゃんとボックスみたら、

ボックスに人の顔半分が入ってて目がこっち見ててさ」

で、どうしたのかと聞くとさすがおじさん、

60年も生きてると生きてる人間のほうが強いと知っていらっしゃる。

きっ!と睨んでそのままふたをパチンと閉めたそうです。
ナンバー○のトンネルが過ぎたからか、睨みが効いたのか、
それ以後は開かなかったそうですが。

「何がイヤかって、いきなり驚かされるのがイヤだ」

怖い、じゃなくて、かぱっと開いて驚くことのほうがイヤだったおじさん。

その道を通るのがイヤになった友人。

その後もその道を通って、釣りと仕事に励んでいます。

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