同居人

怖い話

同居人

投稿者:M The Hot Rodderさん


あれは私が2歳ぐらいの時のことです。

私達家族は父、母、姉、私の四人でした。
本当は母方の祖母も一緒に住んでいたのですが、
そのころには入院していて家にはいませんでした。
その時住んでいた家は新築の借家で、玄関を入ると右手にトイレ、
正面にまっすぐのびた台所兼廊下で、

突き当たりに風呂場がありました。
廊下は左手に流し場、ガス台等、右手に玄関手前から
六畳と八畳という、実に簡素な家でした。
物心ついた頃の私の癖は、日曜日の早朝に
両親の布団に潜り込むことでした。(とても甘えん坊だったのです)

その日も私は明け方近く目を覚まし(5時ぐらいでしょうか)、

二段ベッドを抜け出て両親の寝ている奥の部屋に向かったのです。
ふと、私は妙な寒気を覚えました。
季節は冬でなかったことは確かです!

今まで感じたことの無いような異様な雰囲気がしました。
まるで「待って・・・。」と声をかけられでもしたかのような感じがして、
私は足を止めました。
ふと、視線・・・でしょうか?
私はどうしても振り向かなくてはならない!

と言う強迫観念に襲われ、振り向きました!

私は振り向かない方が良かったのです。

そのまま両親の部屋に真っ直ぐ行けば良かったのです。

玄関は磨りガラス製の引き戸で、その向こうに佇む影はおぼろげ。
それでも私の記憶に根を下ろし、20年経った今でも
鮮明なその姿は白い着物姿の女性でした。

何故女性と分かったのか・・・
白くぼんやりと浮かび上がるシルエットには
腰のあたりまである黒髪が・・・。
何故着物姿と分かったのか・・・
胸の合わせ目や、灰色っぽい幅のあるものが
胴のあたりに見えたから・・・。

それは帯でした。
私はその場に凍り付き、次の瞬間自分の部屋に駆け込み、
頭から布団をかぶりました。

その夜以来、私は両親の所へ行かなくなりました。
私が急に来なくなったので両親は不思議に思っていたそうです。
無理もありません。

あまりに怖かったのと、上手く説明できないだろうと思って、

私は中学生になるくらいまで誰にも話さなかったからです。

三歳になる頃、私達は引っ越し、今に至ります。

ある日、あの時のことを母に話してみたところ
「そういえば、お祖母ちゃんも時々
『たまに家にいる、あの女の人は誰?』
って言ってたわ。」

と言い出しました。
「お父さんも、夜中に寝言でお経を唱えながら
うなされてるから聞いてみたら、

『白い着物姿の女が、廊下を行ったり来たりしてた』って。」
淡い記憶の中で、時折家の中でじっとこちらを見ている視線は
彼女のものだったのでしょう。
彼女は一体誰なのでしょう。
何故家にいたのでしょうか?
思えば姉も私も、子供にしては大きな怪我ばかりしていた気がします。

(実際私は顔を6針縫っています)

聞けば父の祖母は拝み屋さんだったとか。

その力が一番強く出たのが父で、私もその血を引いたのかもしれません。
あれ以来、私は見えるようになってしまいました。
時々その力が全く発揮されなくなるときもありますが・・・。

今の家には同居人はいませんが、時折同乗者がいます。

ですがその話は、またいずれ・・・・・。

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