投稿者:YASUMIKIさん
私が高校生のときです、
ある朝玄関先にダンボールに入った小さな捨て猫がいました。
鳴き過ぎたのか、病気なのか口を開けても声がしません。
かすかに「シャー」としか聞こえません。
ベンと名づけて、このトラ縞のメス猫を飼うことにしました。
おとなしく(ずっと声が出ない)、賢かった。
避妊の手術もしました。
冬場の夜は寝相のいい父、母、または私の布団の中で眠りました。
家族みんながかわいがりました。
数年たったある冬の夜、私の布団の中で眠っていましたが
夜中に急にむくっと起き上がって、
布団から出てゲーゲー吐きました。
医者が言うには内臓がガタガタで、
はやりの病気だそうです。
二日目の朝、ベンは冷たく硬くなっていました。
小さな庭に、魚と一緒に埋めて線香を立てました。
その晩、私は階段をトントントンと小気味良いテンポで
上がってくる音で目がさめました。
続いて畳の上をタッタッタと私の枕もとへ。
私はいつものくせで、布団を少し持ち上げて、
ベンが布団に入りやすくしました。
しかし、入って来ません。
枕もとに確かに気配はあるのですが。
翌朝、私は「ベンが来た」と家族に言いました。
「かわいそうに、死んだことが分からないんだね。」
と皆が言うので、
「猫の幽霊なんて初めてだ。今度きたら言っとくよ。」
と私は言いました。
その晩、やはり来ました。
無視していると私のホッペを前足でトントンとたたきます。
なお無視すると最後の手段、冷たい鼻をホッペにペタッ。
その様子はいつもとちっとも変わりません。
私は声に出して言いました。
「お前は死んだ、成仏しろ。」
気配はしばらくありましたが、姿は見えません。
そのまま私は眠ってしまいました。
それからはもう来ませんでした。