投稿者:ムサシさん
高校3年の秋のことです。
足首に怪我をし手術、入院を余儀なくされました。
受験直前ということもあり、無理を言って個室を取ってもらいました。
個室といっても正確には2人部屋で、空のベットがありました。
手術後の最初の夜、麻酔の切れた僕は、
壁をかきむしりながら痛みに耐えていました。
同時に、背後の空きベットに言い知れぬ気配を感じていました。
次の夜、気配は姿を現しました。
お見舞いの友人が帰り、消灯時間をすぎてうとうとしていた時です。
はっと現実に返った僕は隣のベットを見ました。
ベットに絡み合うように寝ている数人の姿があったのです。
苦痛に体をくねらせる人、無表情に私を見る人・・・。
その姿の輪郭は交じり合い、CGのようでした。
不思議と恐怖はなく、病気の苦しみや悲しみを実感しました。
健康のありがたさに涙しました。
それから3週間、受験勉強どころではなかったけど・・・。
看護婦さんは言いました。
「病院は確かにそんな場所よ」
「決して明るい所じゃないね」