ホテルにて

怖い話

ホテルにて

投稿者:H.Kさん

今年の7月に山口県T市に仕事で行ったときのことです。

駅から程近いAホテルをネットで検索して予約しチェックインしました。

ホテルは茶色の落ち着いた外観でフロントなども
特に嫌な感じはしなかったのですが、
シングルの部屋に通された瞬間、体中に悪寒というか
吐き気を伴うような嫌な感じがしました。

しかしもともと霊感などなく、それまで幽霊を見たことのなかった私は、
昼間の仕事の疲れから体調を崩したのかと思い
気にもとめていませんでした。

その後は特に他人と約束も入れてなかったので、一人で外に飲みに出ました。
そんなに飲んだわけでもなかったのですが、結構酔っ払って
23時頃にホテルに戻りました。
部屋の中でベッドに横になってウトウトしているうちに、寝入ってしまいそのうちに
水の流れる音でふと目がさめました。
部屋の中に人の気配を感じてそちらを見ると、ベッド際の小さな照明だけで
照らされた薄暗い部屋の端に

白い着物を着た老婆が立っていました。

びっくりして枕もとのスイッチで部屋を明るくして
もう一度そちらを見ましたが、今度はだれもいません。
かなりドキドキしましたが、少し間を置くと
「寝ぼけていたんだろう」と納得してトイレに行きました。

そして、トイレの戸を開けてみるとまだだれも使ってないはずのユニットバスが、
あたかも誰かがシャワーを浴びたかのように
ビショビショに濡れていました。
先ほどのこともありますし、かなり怖くなったのですが
時計を見るともう2時を過ぎていましたので、
今更フロントに部屋を変えてくれというわけにもいかず、
目をぎゅっと閉じて無理にでも寝ようと試みました。
電気を消してから10分程したとき、
部屋の空気がキーンと張り詰めるような気がしました。
怖くてたまらなかったのですが、先ほど女性が立っていたほうが
無性に気になり目を閉じたまま寝返りをうちました。

その途端、全身が金縛りにあい、声すら出ない状態に陥りました。

うっすら目を開けてあたりをうかがうと、ベッドの横に置いてあるテーブルの上に

ザンバラ髪の人の首が2つ載ってこちらを見ていました。

再び目を閉じて必死で南無阿弥陀仏と心の中で繰り返しましたが、
一向に金縛りは解けません。
耳元で人のうめくような声が反響して頭がガンガンしました。
そして突然、何者かに足首をつかまれました。

布団の上からなのですが、明らかに人の手で両足首がつかまれています。
自分でもなにがなんだかわからなくなっていましたが、
次にヒザそして胸のあたりをつかまれました。
「ああっ首を絞められる。」と思った瞬間、気を失ってしまい、
目がさめると朝になっていました。
でも、一時も部屋にいるのが嫌だったので、
フロントに行って昨夜のことを話し始めると、

若い係員の方に代わって女性の副支配人という方が出てきて
「アナタ何をいってるの?ウチの営業を妨害するつもり?」
といきなり凄い剣幕でまくし立てられました。
私も、あっけにとられそそくさと料金を支払い
なんとも後味の悪い思いをしながらチェックアウトしました。
最近、T市在住の方にその話をしたところ、
「あそこに泊まったの?そりゃ出るよ。」とあっさり言われました。
どうやらそのホテルのある場所は江戸時代には
罪人の首をさらしていた場所だったそうです。
また第二次対戦中にT市が爆撃されたときに多数の方がなくなり
遺体を一時集積した場所でもあるとのことでした。

自分にとっては初めての霊体験があまりに強烈であり、

今でもつかまれた感覚がはっきり体に残っているような気がします。

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