投稿者:ゆい子さん
私の父の中学生の夏休み、ある日の昼下がり。
父は退屈しのぎに外に出たそうです。
すると、普段はかなり人通りや交通量の多い道なのに、
不思議なコトに人だけでなく車もいなかったそうです。
少し不思議に思ってはいたようですが、
とりあえずいつもの散歩コースを歩いていました。
・・・しばらく歩いていると、目の前になぜか、
下はもんぺ、頭に防空ずきんをかぶった
中学2、3年生くらいの色白の女の子が歩いていました。
父はまるで誘われるかのように、その子についていきました。
そのままずっとついていくと、近くの山の途中にある社のあたりで、
消えてしまったようにいなくなってしまったそうです。
父は「おかしいなぁ~??」と思いながら、その場から帰ろうとしました。
すると、ふと足元に真珠が落ちているのに気づきました。
そのときは特に何も考えずにそれを持って帰ったそうです。
数日後、父は友人と一緒に、近所の防空壕跡に遊びに行ったそうです。
とうぜん、戦時中の物が残っていました。
懐中電灯を持って、中まで入って探検を楽しんでいると、
一番奥にある大きな水溜まりを見つけました。
驚いたことに、そこには、さびれて少し表面が欠けたブローチがありました。
そのブローチに見覚えがあった父はポケットから先日拾った真珠を、
ブローチのかけている部分に合わせてみると・・・
何と、ピッタリはまったそうです。
友人達とわぁわぁ騒ぎ、親にも話をして、
ブローチと真珠を合わせて見せようとしたのですが、
いくらポケットをさぐっても、真珠がなかったそうです。
後日談
父はその女の子に見覚えがあったそうなんです。
誰に似てるかな、と考えてみたところ、同級生の子によく似ていたと言うのです。
その子にその女の子のコトを話したら、その子の家系には
戦時中に原爆で亡くなった子がいたのだそうです。
「写真見てみる?」と言われたそうですが、父は断ったそうです。
なぜなら、父には写真の子が間違いなく
自分が見た女の子だと、分かっていたからです・・・