投稿者:みぃさん
あれは…私がまだ小学生だった頃の話です…。
夏休みに母方の祖父母の家に泊まりに行くのは毎年の恒例。
その年もいつもの様に姉と二人で泊まりに行きました。
祖父母の家には遊ぶものは何もなく、いつも退屈でした。
その日も姉と何もする事がないので二人でテレビを見ていました。
そして夜になりました。
テレビを見るのも疲れていた私はそれでもテレビしか時間がつぶせる物がなく、
テレビの前でぼーっとしていました。
その時、突然周りの音が何も聞こえなくなりました。
不思議に思い、隣にいた姉に声をかけましたが、
姉には私の声がまるで聞こえていない様子。
すると隣の部屋から不思議な声というか音というか…
なにやら聞いた事もないようなものが聞こえてきました。
そして隣の部屋に行くと、それは窓の外から聞こえていたのでした。
ちょうど窓の外は祖父母の裏のお宅。
私は何かに呼ばれているような気がして窓の外を覗きました。
誰もいませんでしたが、外に出してあった食器(何故外にあったのか不明)の
辺りからなにやらぼんやりと明るい物が見え隠れしていました。
何だろうと目を凝らして見ると…
その家の誰かのお茶碗なのでしょうか。
そのお茶碗の中に何かぼんやりオレンジの光が…
そこから聞こえてくるようでした。
良く聞いて見るとなにやら寂しそうな泣き声のような音が…。
そしてお茶碗の中からコロコロ…っとボールのように転がり落ち、
しばらくして消えてしまいました。
その瞬間、テレビの音や虫の声…
すべての音が聞こえるようになりました。
いったいなんだったんだろう…。
わからないまま、私はまたテレビを見ることにしました。
でもやはり気になり、布団に入った時姉にその事を話しましたが、
信じてくれませんでした。
姉はずっと私が隣でテレビを見ていたと言うのです。
そんなはずないのです。
私は間違いなく隣の部屋に歩いていったのですから。
次の日の朝、昨夜あったことなどすっかり忘れていたのですが、
ひいおばぁちゃまの肩を叩いてた時、
急に思い出し話して見ることにしました。
ひいおばぁちゃまは「ほぉ…おまえに見えたんか…」
私は聞きました。
「あれなんやったん?」
すると静かに私の方を振り向き私の顔をじっと見つめ言いました。
「おまえはわしに似たみたいやなぁ…あれはな、人の魂(たま)や…
人が死ぬ前になその人の持ち物から出て来るんや…
そぉかぁ…うらの…あかんかったんか…」
私には何の事かさっぱりわかりませんでした。
昼になり、私と姉は迎えに来た母と一緒に家に帰りました。
その夜…うらのおばぁさんが亡くなった事を聞きました。
ずっと入院していたとの事でした。
不思議な体験でした。
今でもその時の光景は鮮明に覚えています。