投稿者:Tamさん
今晩は。ご無沙汰してます。
外は台風15号の影響で風雨が強くなって来ました。
今夜は10年ほど前の、今日のような台風の夜の話です。
当時、私はアパートで独り暮らしをしていました。
その夜は刻一刻と近づく台風の情報を(ちょっとわくわくしながら)
聞いたりして、お酒を飲みながら夜更かししていました。
午前1時をまわった頃でしょうか。
戸を叩くような音がします。
何かが戸にあたっているのかな?と思いつつ玄関に立つと、
外から声が聞こえます。
「夜分遅くすみません。中に入れて頂けないでしょうか?
服を乾かすだけで結構です。
玄関先を少し貸して頂けませんか?」
若い女性の弱々しい声でした。
こんな深夜に。
と、少し不審を覚えながら、でも本当に困っているのかも知れないとも思い、
「構いませんが、こんな時間にどうなされたのですか?」
と言いながら覗き穴から外を見ましたが誰もいません、
とその瞬間、
「有り難うございます。本当に助かります。」
背後から、いや自分のすぐ隣から先ほどの声...誰もいません。
戸を開けて外を見ましたが、やはり誰もいません...
いや、飲み過ぎた。
空耳だな、っていうよりは妄想か。
なんて思いながら、もう寝ることにしましたが、
「あ~なんか寂しいな、幽霊さんでも良かったかな」
などとお気楽な事を考えつつ
「もしもいらっしゃったら、コーヒーとか
自由に飲んで構わないからね、良かったらお風呂もどうぞ、
じゃ僕は寝るね」なんて独り言を言いながら布団に入りました。
翌朝、台風一過の良いお天気でした。
と、その時
「昨晩は本当に有り難うございました。」
「えっ!?」
お風呂の前には、バスタオルがたたんで置いてありました。
姿は見えませんでしたが、どうやらいらっしゃった様です。
でも、それきり2度と現れませんでした。