投稿者:さけぴーさん
以前住んでいたアパートでの出来事です。
そこのトイレは共同で、個室に入っていても、
扉の2ミリくらいの隙間から外の景色が見えるのです。
ある日トイレを使っていると、その隙間から
若い女の人の姿が見えました。
なんとなく様子が変だなと思ったのは、
ウェーブのかかった髪がお風呂上りのようにべっとりと濡れていて、
頭を壁にもたせかけていることでした。
そのトイレの壁、クモの巣や虫の死骸が貼り付いていて、
とても汚いんですよ。
なのに濡れた髪を押しつけているし、
個室の中にいる私のほうをじっと見つめています。
こちらからは、隙間ごしに外の様子はけっこう見えるんですが、
向こうからは見えないはずでは?
なのに、ピタッと視線が合った感じ。
そのとき、女性が声をかけてきました。
「すみませーん」
どこか力の抜けたような、抑揚のない声です。
「…はーい!」
思わず私は返事をし、個室から出ました。
その間、ほんの一瞬だったのに、女性は消えていました。
あわててトイレの外の廊下に飛び出して探しましたが、
やっぱりいません。
その晩、寝ていると夜中の二時ごろに誰かが
ドアをノックしました。
ビクッとしたので寝たふりをしていると、すぐにやんでしまいましたが。
友達に確かめましたが、誰も夜中に来たりはしていませんでした。