上を向いて歩こう

上を向いて歩こう 怖い話
上を向いて歩こう

上を向いて歩こう

投稿者:GT-Rさん


怖いというか・・・悲しい話です。
長野で歯科医をしている知人Aの体験談です。
1985年8月のある日の夕方、Aはいつものように
診察終了後の器具の手入れをしていました。
すると、どこからともなく坂本九さんの「上を向いて歩こう」が
聞こえてきたのです。
いつも診察中はラジオの音楽チャンネルを
低音量で流しているので、はじめはその音かと思ったそうですが、
よく見るとスイッチが切ってあります。
近所で聞いているのかな、それにしてはアカペラみたいだなと思ったそうです。
理由が分かったのはNHKの番組で臨時放送が始まった時でした。
「御巣鷹山に日航機123便墜落の模様。

坂本九さんをはじめ各界の著名人乗り合わせる」
123便が消息を絶ったのは歌声が聞こえてきた時間でした。
Aは歯科医師会からの要請を受け、事故の翌日、
遺体の身元確認作業のため遺体安置所へ向かいました。
事故現場からは奇跡的に数名の生存者が救出されたのですが、
それから後はすさまじい状態の遺体が次々に運び込まれ、
体育館は地獄絵図と化したそうです。
どれぐらい時が過ぎたでしょうか、Aが仮眠をとる為
体育館の外に出て、芝生の上に寝転がった時です。
「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように・・・」
以前聞いたときと同じ、「九ちゃん」の歌声でした。
それは、静かに体に沁み入ってきて、
自然と涙がこぼれてきたそうです。
親しい看護師が「九ちゃん(遺体が)ご確認になったそうです」
とAに言いました。
「・・・そうか・・・」
星がたくさん瞬いていた夜だったそうです。
御巣鷹山で落命した方々のご冥福をお祈りします 

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