鵺さんの投稿です
某国へ旅行しに出かけたとある夫婦が、
商店街を散策していた時のこと。
妻が自分好みの衣服を取り揃えていそうな一軒のブティックを発見し、
早くホテルに帰って一休みしたいとぼやく夫を尻目に早速入店。
そして妻は華やかなワンピースに目が留まり、試着室へ直行した。
だが、いつまで経っても妻は出て来ない。
不審に思った夫が「いいか、開けるぞ」と
一声かけて試着室の戸を開けると、そこに妻の姿はなく、
彼女が持って入ったワンピースだけが残されていた。
夫はすぐさま現地の警察に通報したが、目撃者がいない上、
警察は外国人である夫に冷たく、捜査も早々に打ち切られてしまった為、
帰国を余儀なくされた。
それから数年後。再度某国を訪れた夫は友人に誘われて
『だるま』と何故か日本語で表記された看板を掲げた、
怪しげな店に立ち寄った。
友人が言うには、ここは歴史のある見世物小屋で、
某国では密かな人気を集めているらしい。
そして小さな舞台の上に登場したのは、両手足を根元で切断され、
壁に固定された裸の女だった。
女は舌も切られているらしく、よだれを垂らしたまま、
焦点の定まらない眼で天井を仰いでいた。
「ほう、まるでだるまのようだな」
と夫はしばし興味津々に眺めていたが、見覚えのある姿に気付き、
愕然とした。
なんと、そのだるま女はあの日、
ブティックの試着室から消えた妻だったのだ。