投稿者:白虎さん
それは紫苑(友達の仮名)達と山へ行ったときのことでした。
その山は昔、ある女性が首を吊り、自害したという噂があり、
皆はおおはしゃぎでした。
私と紫苑だけを除いて。私はそうでもないのですが、
紫苑は霊感が強く、この山登りだって反対でした。
でも、先輩方もいたので、来ない訳にはいかなかったのです。
夕方になって日が沈むころ、気がつくと私と紫苑は皆と
はぐれてしまっていました。
すると、紫苑が私の服の袖辺りを掴み、くいくいとひっぱるのです。
私は、「どうしたの?紫苑」と、紫苑に声をかけました。
でも、紫苑は黙って、ただ向こうの方を指さすだけでした。
「え・・・・・・」
私はソレを見たときに震え上がりました。
美しいとも思いました。
でも一番に思ったのは『見なきゃ良かった・・・・』
私達が見たものは、綺麗なうす紅の桜と、
その桜の下で首を吊っている人間の骨でした。
その骨は綺麗な着物を着、首を吊っていたヒモは、
別の場所に引っ掛かっていました。
でも、本当に綺麗だったんです。
月明かりに照らされるその姿が・・・
私達は無事に家に帰ることは出来ましたが、
このことはだれにも言いませんでした。
ただ、なんとなく気になることがあるのです。
私達が見たソノ霊は、・・・泣いているように見えたんです