投稿者:源さん
高校二年の夏休みにインドネシアに行きました。
剣道部の海外遠征と言うことなので部活の連中と一緒でした。
到着一日目は練習になっていたのですが
暑さと慣れない土地と言う事で皆、バテていました。
二日目からは地元の高校の剣道部
(意外と東南アジアの高校には剣道部が多いのです)
との交流試合で、ジャカルタにある巨大な体育館で朝から試合です。
県内での強豪と自称しているので下手な試合をするわけにもいかず、
全力で戦ったため昼過ぎの試合終了時にはクタクタに疲れていました。
その日の夕方、親善のレセプションがあるので体育館の近くにある
レストランに行く事になっていたのです。
そのレセプションの時です。
昼の試合の疲れのため、途中で会場を抜け出し、
外のベンチで休憩していました。
すると暗闇から誰か近づいて来たのです。
そして、その人は言いました。
「隣・・・座っても宜しいか?」
日本語で話し掛けられたので自分は日本人だと思い
「ええ、どうぞ。」と端に寄りました。
その人は老人で日本からインドネシアに来て50年以上住んでいる事や、
戦争でオランダと戦った事などを話してくれました。
その老人の話しに聞き入っている時です。
「コラ、源、姿が見えないと思ったらこんな所でサボってたか」
顧問の声が響きました。
自分「あ、先生。すいません、ちょっと疲れたので
こちらのご老人と話しを・・・・・」
そう言って横を見ましたが。誰もいませんでした。
顧問「何いってんだか、ボケてないで中に戻れ。
それとも何か、日本軍の戦死者の霊でも見たのか?」
自分「おかしいなあ、確かにいたんだけどな・・・・」
納得できませんでしたが、とりあえず中に戻りその日は終わりました。
次の日、自由行動の日だったので昨日の場所に行ってみました。
顧問の言葉が気になったのです。
昨日のレストラン、そしてベンチ ・・・何一つ変った物はありませんでした。
辺りを歩き回りましたが特に何もありませんでした。
少し歩き疲れ昨日と同じベンチに座っていると昨日の試合で、
知り合ったインドネシアと日本人のハーフの
学生が通り掛かり雑談をしていると
「良い所があるから連れて行ってやる」と言うの で付いて行って見ました。
すると、石碑がありました。
漢字で日本軍戦没者の碑とあり、
横にインドネシア語 で何か書いてあったので訳してもらうと
「インドネシア独立の為の礎となった、
日本軍の戦没者に感謝と哀悼の意を捧げる。
あなた方の事はインドネシアがあり続ける限り語り継ぎます。」
と書いてあったそうです。
そして、彼に昨日の出来事を話すとこ う言いました。
「久々に日本人の若者を見たから嬉しかったんじゃないのか?
まあ、 これからの日本を背負って走るんだからしっかりしろって事だよ。
それに、この辺りじゃ珍しい事じゃないし。」