逸匠冥帝氏レポート
有名な謡曲に『鉄輪』というものがあります。
あらすじは・・・
京都の堺町松原下ルの地に夫婦が住んでいました。
ある日、妻は夫の浮気を知り、あまりの怒りのために
貴船社へ丑の刻参りを行い、夫を呪い殺そうとします。
異変に気づいた夫は陰陽師・安倍晴明に助けを求めます。
晴明は呪法を駆使して夫を守り、鬼女となった妻は
呪法に敗れて退散します。
鉄輪井戸はこの伝説に深く関わる場所です。
鉄輪井戸はなんと民家の敷地内にあります。
敷地の入り口には「謡曲 鉄輪」の碑があります。
戸口をくぐって、更に十メートルほど奥へ入ります。
これが鉄輪井戸です。
上の話にはいろいろなパターンがあり、
鬼女となった妻はこの井戸に身を投げたとも、
呪いの満願前日に力尽きてここで息絶えたとも言われてます。
とにかく、彼女はこの地で怨みを残して死んだとされます。
(昔はここに丑の刻参りに使った鉄輪を埋めた塚があったとか)
この井戸の水を飲ませると、
その相手とは完全に悪縁が切れると言われています。
しかし今は金網が張られ、水は汲めないようです。
ただ逆に水を持参して来られる方があるらしいです。
(ということは、縁切りの効果はいまだ絶大なのか?)
。
江戸時代になって、縁切りは縁起が悪いということで、
隣に縁結びの命婦稲荷神社が建てられます。
この井戸と神社は町内会によって保存されているとのことです。
「日本伝承大鑑」
京都府心霊スポット