投稿者:とうまさん
私の家は旅館を経営しています。
それなりに大きく、50年近く経営していますので、
色々なお客様やバスの添乗員さんが来て、
色々な出来事がありました。
喜んで帰ってくださったお客様や、ご宿泊されている間に
病気になってしまった方、客死なさった方…。
長いことやっているせいか、バスガイドさんの間では、
いわゆる「出る」旅館でも有名なそうです。
白い影を見た、人が夜中に真っ暗な中を通ったなどです。
実際、従兄が不思議な出来事に遭うまで間では、
私はそれらの話に関しては半信半疑でした。
当時、高校生だった従兄が叔母である私の母の命令(笑)で、
我が家で泊まりがけでアルバイトをしていました。
従兄は仕事がありますので私の家に泊まらず、
すぐ休めてすぐ働けるように、丁度空いていたガイドさんや
バスの運転手さんが泊まられる部屋に泊まっていました。
大分アルバイトにも慣れて夜更かしをするようになり、
不思議な出来事を体験しました。
その夜も、深夜番組を見ていたそうです。
大分夜も更けて、そろそろ寝ようかと思っていたときに、
ふと部屋の扉の向こうで人の気配を感じたそうです。
私の家では当直の方が居て、夜中に2回、館内の見回りをします。
そのときは、従兄も当直の方だと思い、寝ようかとテレビを消そうとした時、
「トントン」
と、扉を2度ノックする音がしました。
従兄はアルバイトを始めてから、よく働き明るい人だったので、
従業員のみんなと仲良くなっていました。
当直の方ももちろん仲が良かったので、顔を出しに来てくれたのかと思い、
「はーい」
と返事をしたそうです。
でも、何の反応も返ってきません。
ノックは気のせいかと思い直し、寝ることにしました。
すると、再び
「トントン」
と、ノックが聞こえたのです。
流石に、従兄も誰かがいるのかと思いドアを開けたそうです。
しかし、そこには誰もいませんでした。
当直の方もお客様も誰も…。
変に思った従兄はドアを閉め、さっさと寝て忘れようと思ったそうです。
明かりを消したそのとき、
「トントン」
またノックが。
扉の向こうには、やはり人の気配もします。
館内の廊下にはカーペットを敷いているので、歩くとザッザッという音が鳴ります。
当直のおじさんは、館内をいつもサンダルを履いて歩いているので、
どうしても音がなるはずです。
必ず名前も呼んでくれるはずです。
でも、このノックをする人はその「音」がしない。
それなのに、ずっと前に立っているそうです。
怖くなった従兄は、明かりとテレビをつけ、
ドアも絶対開けずそのまま目をつむりそのまま寝たそうです。
翌朝、私と両親に凄く怖かったとその話をしました。
両親は「ガイドさんとかよく見るらしいからなぁ」と
従兄に言うと、従兄は半泣きになって
それを早くいってくれと言っていました。
従兄は知らなかったのです。
この一件以来、信じるようになりました。