投稿者:Nさん
あれは私が中学生の頃、同じ年の従兄弟とある塾に通っていました。
個人で経営されている塾で、夜、勉強が終わると
そこの先生に車で送って貰っていました。
その日は、従兄弟の方を先に送って行くことになりました。
いつものように川にかかっている幅の狭い車が一台しか通れない橋を渡り、
それから同じように幅の狭い一本道を通って従兄弟の家に行きました。
車がついて、従兄弟が降りました。
竹薮を潰してその跡地に建てた家なので、回りも竹薮で、民家も少なく、
その道から家まで少し距離があります。
車は従兄弟の家の庭でUターンして、来た道を帰っていきました。
そして、私も家まで送ってもらい、その日は終わりました。 翌日の朝、従兄弟がいつものように
自転車を私の家の前に止めにきました。
従兄弟の家は自転車通学が出来ない区域ないのですが、
川向こうから歩いてくるのが面倒なので、
私の家まで自転車で来て、いつも一緒に歩いて通学していました。
途中で従兄弟がこう言うのです。
「なぁ、昨日、俺が車降りた時、回りに誰もおらんかったよな?」
もちろん、あの時車の近くには誰もいませんでした。
一本道ですし、誰かいれば気づいたはずです。
「うん、誰もおらんかったでぇ」
私が答えると、「そうだよなぁ」と言います。
そこで、「どうかしたん?」と聞くと、従兄弟がこう言いました。
「昨日、母さんが車の音が聞こえたから、俺が帰ってきたと思って、
障子を開けて外を見たんだって。
ちょうど、俺が降りた所だったらしいんだけど、
その時、車の回りにもう一人誰か立ってたらしいんだ。」
私は従兄弟が降りた時も、車の中に乗ったままでしたし、先生も勿論降りていません。
「それってもしかして・・・・・」
私は従兄弟と顔を見合わせました。
「そのもう一人ってはっきり見えたのかな?」
「どうかな?ほら、俺の母さん視力悪いからあの距離だとはっきり見えないだろ?」
「おばさんが見た、もう一人はその後どうしたん?」
「俺が家に向かって歩いて、車はUターンしてるのに、
そこに立ったままなのはおかしいと思ったらしいけど、障子閉めてしまったんだって。
それで俺が家の中に入ったら、 今の話をされてさ、背筋がゾォーとしたよ」
私も、その話を聞いて背筋がゾォーとしました。
従兄弟の家の立っている竹薮の一部は昔、無縁仏を葬っていた所で彼の弟なども、
家で時々金縛りにあったりしていました。
また、そのおばさんは霊感が少しはあるらしく、時々変なものを見ると聞いたこともあります。
もしも私に霊感があれば、あの時、何か見ていたのかも知れません。