誰？

ある町で、比較的最近できた日本人宿に３日ほど泊まりました。
長期旅行の人が多かったけれども、
みんないい人でついたその日に酒盛りに交ぜてもらいました。
現地のことや、いままでの旅行話、
旅先での恋愛話などで盛り上がったまま夜が更け、

いつしか日付が変わっていました。
飲んでいたのはその宿の３階で、
半分屋上の物干し、半分は旅行者用の台所です。

その台所で飲んでいました。
飲んでる途中、ふと一緒に飲んでた南米帰りの男の子が、
階段のほうを見ています。

「いま、誰か上って来なかった？」

「誰も上がって来てないよ。だって電気つかなかった。」
と日系ブラジル人。
階段には赤外線センサーがあって、
人が上がってくると電気がつくのです。
「でもいまさっきむこうに人影が動いてた。
ほら、洗濯ひもが揺れてるじゃん。」
みんなが見ると確かに、風もないのに、
３本ある洗濯ひものうち１本だけが揺れています。

「ほら」と、南米帰りの子。

みんなしてシーン、となってしまいました。
このときはこのあと無理に話題をかえましたが、
後日昼間に聞くと、

ここに前来たことのある女の子も、
「みんなが怖がるといけないから黙ってたけど、
夜しゃべってた時、屋上のとこ、男の人が立ってた」

と言ってたそうです。
この宿では昼間コピー機がかってに動き出すことも時々あって、
オーナーいわく、

「お化けでもいんじゃないの？」とのことです。