回想・犬鳴峠

怖い話

回想・犬鳴峠

投稿者:たけひみさん


平成10年の7月、僕は長崎の大学の3年生でした。
バイト仲間の先輩が福岡の方で、
そこではじめて犬鳴トンネルのことを知りました。

当時、幽霊がいるのならぜひ見てみたい!
としばしば一人でも探検に出かけては
周囲を心配させていましたが、
犬鳴の話を聞いてしまった僕はもうその虜になっており、
急きょ友人4人で出かけることになりました。

深夜出発しましたが、地図を見ながらの初めての道に思いのほか苦戦しました。

峠の麓のコンビニで道を尋ねるとよほどの名所らしく、

店員さんが専用の地図を片手に丁寧に説明してくださったのを覚えています。

旧トンネルはとても不気味でしたが、

トンネルの反対側にもギャラリーの方がたくさん居られたので
それほど恐怖感はありませんでした。

不謹慎かもしれませんが正直言って拍子抜けした感じでした。
こうして犬鳴峠の探索を終えて無事に帰り着き、
通常の生活に戻っていきました。
ところがこれ以後不思議な
(というよりも僕にとっては不運な)出来事が連続して起こります。

ほどなくして彼女との仲がとても悲惨な結末でもって終焉を迎え、
愛車が不慮の事故により全損し、その他いろいろ、
ちょっとした悪いことが続きました。
また不思議なことにCDラジカセが
奇妙な動きをするようになりました。
電源が勝手にオン・オフしたり、液晶ディスプレイ画面が
電源が入っていないのにパチパチ点灯点滅したり、
突然電源が入って”ザー”とか”プツプツ”とか”
人の声のようなものが聞こえたりすることもあり、

それは気味悪いものでした。
そんなことが続いていた平成11年9月頃、
なんとなくうとうとしていたときです。

突然犬鳴峠を思い出したのです。

「そういえば去年犬鳴へ行ってから生活がおかしくなった」と気づき、

もう一度行って”何か”を返してこなければ、と思うようになりました。

10月、再び犬鳴へ行きました。

また前回の4人です。
旧トンネルに入って進むと向こう側が塞がれていて
Uターンする羽目になりとても慌てましたが、

何事もなく降りてきて、新トンネルを通ってみることになりました。
新トンネルは前回とは違って異様な雰囲気が漂っており、

旧道よりもこちらのほうが怖かったです。
峠から降りてしばらく走っていると、突然右肩が痛く
(というより重くだるい感じ)になり、

隣に座っている先輩が「肩が痛い肩が痛い」と言い出し、

これは明らかにやばい!と思い必死でお経を唱えていましたが、
そのうちすうっと痛みが引き、先輩も痛くなくなったと言うので、
危機は脱したのだと安心して帰りました。
その日からラジカセは誤作動?しなくなり、
極めて平穏な生活に戻りました。

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