投稿者:maiさん
これは、母がまだ子供の頃の話です。
母が夜中に部屋で寝ていると、どうも視線を感じて
目が覚めてしまったそうです。
ふと襖をみると、ピッタリ閉めておいたハズの襖が、
両開きの方の襖が少し開いているというのです。
しかも、襖の向こう側から、色こそは、灰色なのだそうですが
はっきりとした姿をした見知らぬ誰かが
母を見つめていたと言います。
着物を着てあぐらをかき、一升瓶を抱えたお爺さん。
お爺さんに寄り添うように後ろに立っているお婆さんだったそうです。
ただ一つ解ったのは、それは生きている人では無いという事です。
母は、一瞬ギョッとしたそうですが、悪い感じはせず、
むしろ優しく微笑んでいたというのです。
母が気づいてから、すぐ消えてしまったそうですが、
次の日に母親(私の祖母)に一部始終を話したところ、
驚いたそうです。
「そりゃ、アタシの両親で、おまえのお爺さんお婆さんだよ。」
母が生まれる前から二人とも他界しており、
お爺さん、お婆さんの写真を見たことがなかったし、
お酒好きだったという事も話したことがなかったそうです。
なのに、詳しく話してくれた母に、母親は確信したそうです。
きっと、生きている時に、見ることが出来なかった孫を、
こっそり見守っていたのかもしれません・・・。
母は不思議な体験をしたと、いまでも忘れられないそうです。
亡くなってしまっても、見守りたいと願う気持ちは、
残るものなんだなと実感しました。