投稿者:シヴァ3号さん
私の友人K子が東京世田谷にある
アパートに住んでいた時のことです。
そこは、地下鉄の駅も歩いて5分、
中央線の高円寺駅まで10分かからない堀の内という所でした。
また、地下鉄で新宿までわずか2駅で7分と便がいい所です。
すぐそこは環状7号線が走っていました。
場所からいうとそこは家賃が破格に安い、
快適な1ルームのアパートでした。
私もそこにガキと一緒に行きましたが、
家賃の割には広いのでびっくりしました。
まだ入居して1ヶ月もたっていないので彼女はうかれていました。
気になることといえば、隣が引っ越して空いているので淋しい・・
くらいでした。
「でもね・・夜ね学生だかなんだか
うるさくてなかなか夜眠れなくて・・・
住んでる人が陰気くさいってか目も合わさないような・・
気のせいか金縛りによくあうし・・
決まって2時か3時頃・・それで起きちゃって・・
朝がつらいのなんのって・・」
「まあねえ。金縛りなんてよくあることよ。環境に慣れないとね。
でもさあ値段が値段だから」
まあ1Rとはいえちょっと年数が経っているせいで、
アパートが湿気くさい(そんな事とても言えない・・・)
その日は、泊まっていく予定だったのでお酒を飲んで、
ぎゃあぎゃあ うひゃうひゃ騒ぎ、
12時頃になったので私は自然に眠くなりいつのまに寝てしまいました。
枕元に時計が置いてありました。
随分寝た頃、真っ暗な真夜中私は、
何か異常な気配に気づきました・・・
私は目を開けている訳でもないのに、
部屋に見知らぬ男がいつのまに入って来ていることに気づきました。
・・・ど・・どろぼう!・・ち・・ちかん?! ギャー!
自分の心臓がばくばく波うち、
体が同時に硬直していったように思います。
何故なら、K子を起こそうとして
、叫ぼうとしたが声がでないのですっ。
頭の中で、
(この男カギが掛かっているのに、どうやってこの部屋へ・・・
う・・体がこんな時に右にも左にも動かない・・・
首も動かせない・・目、目も開かないっ・・!)
しかし、閉じている目ではっきり男の姿が見えるのです・・・
そしてこの男が泥棒でも痴漢でもないという事が
ようやく・・わかったのです。
何故なら・・この男、両足が・・・ないのです・・
要するにズボンの膝から下がちぎれてないのです・・
顔も黒っぽくて若い感じなのですが、
右手も・・・ありません・・・でした。
ここまで来ると人間、恐怖を通り越すんですね
私はその頃から幾分か、心で話す?ことが出来ました。
ただこの人は、言ってもわかる人ではない
何か強い憎しみを持っているのか、
何度もいろいろな和らげる会話を心でしても、
殺伐と場所をかえK子の枕元に立つだけで・・無理です。
お願いですから・・子供だけは・・私は動けなくなった体で、
出ない声で頼みました。
今まで一言もいわなかったその男は、
バラバラになった右手を宙にうかせ、
突然ピアノを弾く真似をしだしました。
そうですか・・・ピアノ弾けるんですね・・
何があったかわかりませんが、
私たちには何もできないんですよ・・・本当すみません。
そういうしかありません。
なにせ、こんなすごい亡霊と遭遇した事ありませんでしたから・・
気が遠くなるほど長い時間に感じられました。
私の体の自由がきくと同時に男は消えました。
時計を見ました。3時45分。
確かに夢ではない、いたという証拠に時計で時間を見たのです。
結局殆ど眠れずじまいでした。
次の朝K子は強烈に首を絞められた感触がして、
朝から吐き気がすると言いました。
ガキは、頭がいたいとぐずるし・・・
私は結局昨日の事は恐ろしすぎるので言えずじまいになってしまって・・・
その後、K子はその時結婚前提でつきあっていた彼氏が
突然家の事情で(父親の機械部品会社が倒産)
岡山に突然連絡もなく帰ってしまい、失意のまま
このアパートをわずか半年で出て郷里に帰りました・・・
その時の、K子は目も当てられない位
落ち込んでげっそりやつれていました。
ちなみに、このアパート堀の内霊園も歩いて2分です。
(真裏ですが塀や木に囲まれて広いので気づかなかったそうで)