思い出

思い出 怖い話
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投稿者:こうじさん

もうひと昔も前になります。
大学時代、私の部屋に友人や後輩が集まった時の事。
夜もふけて、自然と話題が怪談になっていました。
私は、地元の犬鳴峠にまつわる話をしていました。
内容は、郷里の友人たちと車を数台で向かう際、
必ず故障などのトラブルがある事や、お姫様のシルエットに見える
岩の事などだったと思います。
話が終わったあと、後輩が
「そのトンネル、入り口がレンガのようなもので縁取られていて、

入り口の横に石碑がありませんか?」

と聞いてきました。
その後輩は、鹿児島出身で福岡に来た事は無いんです。
以前より、霊を見たり、感じたりするとは聞いていましたが。
「へーっ、おまえの霊感って本当やったんやね。」などと感心していましたが、
その後おどろききが恐怖へと変わっていたのです。
急にうつむいたままだまってしまい、何を聞いても頭をゆっくり左右に揺らすだけ。
その時後輩の友人が、
「先輩、こいつ時々こんなふうになるんです。
すぐ戻るんで、その間こいつ頼みます。」
と言って部屋を出て行きました。
私達は、どうしていいものかわからず、
「おい、しっかりせんか」くらいしか言えなかったと覚えています。
そうこうする内、その後輩が手で髪をとかすしぐさを始めたのです。
女性がするあのしぐさです。
部屋に緊張がはしり、その後輩を除く三人は
テーブルの向かい側にかたまりました。
次に後輩は、髪をとかしていた手をテーブルの上にもっていきました。
テーブルの上には、コーラの一リットルビンがあり、
夏ゆえ室内の温度との差でビンの下に水が溜まっていました。
彼は、その水に指をつけ何か書き始めたのです。
読み取りにくかったのですが、その言葉が解った時、
私達は悲鳴をあげてベットの上まで避難しました。
そして、彼の友人が般若心経の書かれたお経の本を持って戻り、
10分ほどお経をあげてもとの意識が戻るまで、
今まで感じた事のない程の恐怖を味わいました。
彼がテーブルの上に、水で書いた言葉。
「ぜったい、ゆるさない。」だったのです。


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