声 怖い話
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投稿者:かにっちさん


10年前、私は警察学校を出て一年足らずで機動隊に配属されました。

配属されて新隊員として最初の任務が、「沖縄植樹祭警備」でした。

今の平成天皇陛下が、天皇として戦後初めて沖縄に行幸するということで、

過激派もこの植樹祭に関する闘争を非常に重要視していました。

闘争というのは、要は爆弾テロを含む抵抗です。
警察もこれに対して各都道府県の機動隊を召集し、
任務期間が継続して一ヶ月という厳しい任務でした。

任務に就く前に担当する警備地区の実査をするのですが、

その中に「有川中将自決の壕」と呼ばれている壕がありました。
地元の案内人の方の話だと、なんでも有川中将以下多数の人が、
沖縄戦の時にその壕で自決されたとか。

壕は直径、深さ5メートルくらいの地面から直下に掘られたもので、
ちょうど壷型になっていました。
壕の中へ入ろうとすると、不発の手榴弾がある可能性があるので
入らないでください、と言われました。

任務についてしばらくたったある日の夜勤、

私は同僚と一緒にその有川中将の壕に続く細い道の警備勤務をしておりました。

確か夜中の三時頃でした。
さすがにその時間になると、いくら事前に仮眠を取っていると言っても
眠いものです。
季節は春でしたがとても蒸暑く、機動隊装備をつけている私たちは
汗だくでお互い喋る気力もありませんでした。

次第に瞼が重くなり、思考もぼやけ始めたそのとき、突然周囲から

「敵襲だーっ!!」

という叫び声がしました。
途端に眠気は一気にさめ、「何、敵だとっ?過激派かっ!?」と
警杖を構え懐中電灯で辺りを照らしましたが、

誰もいません。

同様に、隣に立っていた同僚も身構えていました。
あたりに人の気配はなく、月明かりに照らされた森だけが不気味に
その影を浮かび上がらせていました。

「おい今、声聞こえたよな?」

「うん、聞こえた」

「オレ、ハッキリ『敵襲だ』って聞こえたんだけど」

「いや、オレは女の悲鳴だった」

「・・・・・・。」
とにかく周囲に過激派が潜んでいるかもしれない、
とりあえず周囲を検索しよう、

ということになり、周囲を二人で検索したのですが誰もいませんでした。

あまり探すと私たちの仕掛けた探知機に自分がかかってしまうので、
周囲に誰も潜んでいないことを確かめ、
そのうちに交代要員が来たので声が聞こえた、

周囲は検索済み、と引き継いで待機場所へ戻りました。
その後もたびたびそこで任務につきましたが、
その声を聞くことはありませんでした。
他の隊でも、誰もいないバスに戻ったら青白い女が
バスの真中の席に座ってた、

とか、人の骨を見つけたとか、大人の手のひらくらいの大きさの蟷螂を

それより大きな蜘蛛が食べてたとか、いろいろな出来事が起きていたようです。

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