投稿者:雷神の眷族さん
今は昔、心霊スポット巡りをしていた頃の話。
ある国道のカーブで事故が起こり続けました。
北から南へ向かう急な下り坂の右カーブで、
正面はコンクリートの壁になっています。
下る程巻き込むように曲がり込んでゆく、いわゆる複合コーナーになっていて、
そのせいで曲がりきれないのではないか、と、新聞などでは分析されていました。
仕事でそこを通ることの多い私は、減速せずにとびこんだ大型車が危険な状態を
なんとか立て直しているのをよく目撃しました。
よって霊現象では無い、と私は勝手に断定したのです。
重要な間違いに気付かないで。
その日は、特にスポットに行く気もなしに集まったのですが、
「あのカーブ、行ってみよう。」
ということになりました。
ハンドルは元レディスの霊感少女の親友が持っていました。
助手席の霊感少女は眠っているようで静かですし、
後席の男二人も疲れぎみで黙りがちでいつもより静かな道中でした。
やがて、カーブが見えて来ました。このまま何度か行ったり来たりしてみようとゆうことで、
まず、普通に通過してみました。大きく右に回って、回って、
コンクリート壁が見えて来る?無い!コンクリート壁が無い!
回り込んでいるはずの道路も一直線になっています。
「?」
正面に見える道は鋪装のない土道でした。
両側は冬枯れの黒い森。
森の中を通る一本道。
横を見ると照明灯の並んだ新しいアスファルトがたしかにあるのですが。
このまま行くとまっすぐ森に突っ込む、その時、
「止まって。目を醒してよ!どこにいくつもり?」
霊感少女の声で私は我に還りました。
他の二人も同じだった様です。
とりあえず元レディスはコンクリート壁にぶつかる寸前の車を立て直しました。
あたりは夜とはいえ照明のある明るい道に戻っていました。
「あれじゃあ事故死の苦痛なんて感じないね。」
「あのままあそこで事故った人はあの黒い森を走り続けるんだね。」
「雷神の眷族さん、いつもここ通るとき今の時間?」
「今の時間だと下からよく上がってくるけど?」
「この時間に上から下へ通ったことあった?」
「・・・そういや初めて。」