奇妙な金縛り

怖い話

奇妙な金縛り

投稿者:沢中 陽さん


今ではあまりにもポピュラー過ぎて、
『金縛り』という現象を知らない人はいないでしょう。
不意に全身が身動き取れなくなる現象で、
殆どの場合、声も発せなくなるようです。
心霊現象の一つですが、身体と脳の睡眠状態のズレが原因だと、
まことしやかに説明付けられていたりもします。

未成年のころの霊感が大人になって鈍るという話はよく耳にしますが、
ボクの場合それと逆に、あることが契機となって、
成人過ぎてから霊感が芽生えてきました。
と言ってもよく言う“霊感体質”とまではいかず、
こういう表現は適当ではないかもしれませんが、
比較的存在感の強い霊だけで、数多の浮遊霊、
地縛霊が全て見える訳ではありません。

また、昼間より夜、宵より深夜の方が敏感に感知します。
霊感が身に着いて以後、いくつも霊を目撃したり感じたりしましたが、
金縛りの経験は全くありませんでした。
というのも、今住んでいるアパートにも実家にも同居している霊は居らず、
観光で温泉旅館などに泊まっても、

“いわくつき”に当たった経験がないのです。
ところが、以前、福岡市内のとある会社で働いていたとき、
真昼間、起きているとき、

オフィスのデスクに座っている状態で金縛りに遭ってしまったのです。
その会社は新建材(ベニヤ、コンパネ、壁財、床財)などを
取り扱っている会社で、ボクは倉庫管理の仕事で、
小型フォークリフトを操作して、倉庫内の新建材の管理、
注文に応じて山積みされている中から受注数量を取り出したり、
入荷してきた大型トレーラー一台分のベニヤやコンパネを倉庫内に移動、

積み上げていく作業を主に担当していました。
その時は倉庫内の作業が一段落した午後3時頃、
自分のデスクで何か書類に目を通していたのだったと思います。

椅子に座った状態の全身が、ふと気付くと全く動かないのです。

「アレ?!・・・なんだ?コレ・・・おかしいぞ」
手にした一枚の書類を見ている体制がそのままフリーズしてしまい、
肘や腕はもちろん、指先さえ、どんなに動かそうとしても動かず、
周囲にいる同僚に助けを求めようとしましたが、声が出ないのです。
口も半開きの状態のまま動かなくて、かろうじて眼球だけは動くのです。
「生きたまま、マイナス100度の冷気に瞬間冷凍されたら
こんな風になるのかも知れない」

そんなことを考えたりしました。

「ボクは今、眠っているのか?・・・いや、眠ってはいない。確かに起きている」

「コレは夢?・・・こんなにリアルな環境の夢なんかあるものか。間違いなく現実だ」

「じゃあこの状態はナンなんだ?・・・この状態?この状態は・・・」
自問自答しているうちに、ふと事務所の出入り口に視線が移動したとき、
全開しているドアの、外と中の境目の場所に男性が立っていることに気付きました。

その顔を見たとき、「あ、あの人・・・」

ボクは以前に一度その人を見ていたのです。
倉庫内で一番高く上げたフォークリフトの爪を利用して
3~4メートルの高さまで積み上げたコンパネの山の上に

上がって何かをしていたのです。

そのとき倉庫の入り口から一人の男性が入ってきました。

その人は極々普通の人でした。普通に入ってきて倉庫の真ん中より

少し入り口寄りの位置に立つと倉庫内全体を見渡しています。

会社の男性陣の誰でもありません。

「誰か取引先の人が材料でも貰いに来たのだろうか?」

そう思い、上から

「あのぉ~」
声をかけた瞬間、男性の全身はみるみる透明になり、
ふうっと消えてしまったのです。
消える前まで、そのシルエットははっきりしており、
顔まではっきり覚えているので、
消えてしまうまで生身の人間だと思っていたのが、忽然と消えてしまい、
初めて霊だったのだと気付きました。

その男性は見たところ、40代半ば、中肉中背、おそらく身長165くらい。
丸顔に目のくりっとした少し童顔ぽい容貌で、
黒か濃紺の作業服のような服装をしていました。

その日の夕方、

「ここの関係者の方で、亡くなった男性の方いらっしゃいますか?」

「どうして?」

自分にはときどき霊が見えることと間見た霊の話しをしたところ、
2~3年前に副所長が病死していて、倉庫管理も兼任していた人だったときき、
顔の雰囲気を話したところ、その人に間違いないということでした。
突然の全身のフリーズ状態も彼を目撃したことで、いわゆる
『金縛り』だったのだと気付いたのでした。
彼は別に何かを訴えたい風でもなく、ただ黙って
事務所内をしばらく眺めていたのち、
女性事務員がドアを出るとき、実体のない彼の身体を
すり抜けて行くように出て行ったのですが、

彼女の身体に触れた途端、彼は煙のように消えてしまいました。
そしてまもなく、ボクの金縛りも解け、全身に張り詰めていた
緊張感のような圧迫感から開放されました。
その日の就業時、また亡くなった副所長さんを見たという話を
したところ現所長が今日が彼の命日だっことを思い出したのでした。
その後何人かにこの話をしたのですが、誰もが

「起きているとき、座っていて金縛りに遭うなんて話、聞いたこと無い」

と言うのです。

あれは『金縛り』ではなかったのでしょうか?

どなたか詳しいことの分る方、教えて下さい。

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