自転車の少女

自転車の少女 怖い話
自転車の少女

夢

投稿者:沢中 陽さん

まだつい先日、先週土曜深夜の出来事でした。

ボクは現在、交通誘導員(警備員)のアルバイトをしているのですが、
その日は夜21時からY市の国道3号線と442号線の交差する
納楚交差点で行われるガードパイプ(パイプ製のガードレールのようなもの)の
交換作業に伴って1車線を規制しての

交通誘導を明け方まで警備員3名で行っていました。
ボクはその現場では警備員のリーダーで色々なことに
心を配っておかねばならないのです。

国道3号線という、夜間とは言え交通量の多い道路を規制する訳ですから、

予告看板を全部で10枚以上設置しなければなりません。

しかもトレーラーなどの大型車両が比較的多く、
かなり速めのスピードも走行しますのでその走行時の風圧で
看板が外れたり倒れたり、時には飛ばされてしまうこともありますので
時々看板のチェックに行くのですが、
最初にチェックに向かった23時過ぎ、納楚交差点から
北へ向かって歩いていると、Xンガー◇ットの手前、
八女茶何とかセンターという建物の前、街灯などの照明がないので
深夜になるとその辺りは真っ暗になりますが
その夜闇の中に自転車を押して歩きながら歩道上や車道の路上を
見て回っている女子中(高?)校生が居るのです。

ボクは看板をチェックしながらべ☆ト電器の前に立てた〔300メートル先右へよれ〕の看板まで行き、

チェックを終えて先ほどの場所まで戻って来ると、やはり居るのです。

しかもよく見ると頭から血が垂れていて、靴も履いておらず、

白いハイソックスが血と道路の砂利などで汚れているのです。

ボクは声を掛けようかとも思ったのですが、一心に何かを探しているようで、

声を掛け辛い雰囲気がありそのまま現場へ戻りました。

その現場には地元民の隊員が一人居たので、
「ここ数年、その辺りで車に撥ねられて亡くなった
自転車の女子中学生か高校生いない?」

と尋ねてみても、分らないという返事でした。
それから数時間後、2時半くらいに再度看板チェックに向かったとき、
まだ少女がブラついているのです。

おそらく亡くなってからずっとココで何かを探しているのでしょう。

そう思ったので戻りがけに「ねぇ、キミ。何か探してるの?」と尋ねたところ、
おニューでお気に入りの、白地にピンクのラインの入った
可愛い紐靴を探しているということで、

事故のときに脱げて飛んでいったらしいということでした。

それがずーっと未練となってこの辺りに居付いてしまっており、さらに詳しく話を聞くと、

自分がココで亡くなって以来、おニューの白い紐靴で自転車に乗った若い女性が通ると、

紐を解いてチェーンや車輪、ギヤに絡ませるイタズラをしてしまうのだそうです。
そんなことをしたら危ないから止めるよう諭し、靴もきっと家族の人か
誰かが家に持って帰っているだろうから、

いつまでもこんなところに居ないでおウチに帰って探してみるように薦めると、

ポツリと「うん」とだけ返事して道幅の広い3号線を自転車を押して渡って行き、

走ってきた車にかき消されるようにフッと消えてしまいました。
自転車に乗っていて靴紐が解けてチェーンなどに絡まった経験のある人は、

もしかしたらあの少女のような霊のイタズラかもしれません。
ところであの子はボクの言うとおり、ホントに家に帰ったのでしょうか?


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