通り道2

怖い話

通り道2

投稿者:桜さん

前回の通り道とはまたちょっと違った通り道の話です。

これも、私が中学生だった頃。

受験を控えていた冬のある日のことです。
炬燵(こたつ)に入ってラジオを聞きつつ
受験の追いこみに入っていた私は、

何気なく時計に目をやりました。

午前2時。

さすがにもう休もうかと思いラジオを消しました。
布団を敷こうと立ちあがり、炬燵の上を片付けている
となにか足音が聞こえてきます。

コツコツコツ・・・・

どうやらハイヒールの音のようでした。

「こんな時間に帰ってる女の人がいるんだ・・・」
そう思いつつ作業をしていた私は、
しばらくして違和感を感じ始めました。

足音は普通、近づいてきて遠ざかっていくものです。
それが、ずっと聞こえている・・・
まるでその場で足踏みをしているかのごとく。

コツコツコツコツ・・・・・・
一定のリズムを刻んでいるのです、丁
度私の部屋の真下で。
そこには街灯があり、窓を開ければきっと何者が
足音を立てているのか判明するのでしょう。

しかし、私は窓を開けることは出来ませんでした・・・

もう一つ。
これはごく最近のことです。
2年ほど前に家を建て替えたのですが、
その新築の家に友人が泊まりに来る事になりました。
夜になり、私と友人計4名はダイニングのテーブルを
囲んでお約束のように酒盛りをはじめました。
我が家のキッチンにはカウンターがあり、
その横にテーブルがあります。

テーブルからはキッチンの様子が見れるようになっていて、

そのキッチンの奥に飼い犬が寝ているのが見えます。
久し振りに集まった友人たちとの楽しい時間でした。

しかし、私はある物音に気がついたのです。

裏手の池側に面した勝手口のドアがカチャカチャと鳴っているのです。

しかし、風の音だろうと気にせずに話を続けていました。

すると今度は、勝手口を通り過ぎてキッチンの流しの辺りで音がする。

ソレはまた進んで、食器棚の辺りでカチャカチャと音を立て始めました。
隣に座っていた友人Mと目が合いました。

彼女も気付いている。

私たちの向かいに座った二人は全く気がついていない様子です。

私とMはこっそり頷きあって知らないフリをすることにしました。

しかし、その瞬間。

それまで大人しく寝ていた飼い犬がゆっくりと体を起こし、
裏口のほうを向いて(犬の寝ていた正面にある)
う~・・・と唸り始めたのです。
すると音はぴたりとやんで、
犬はまた元通り横になってしまいました。

私とMはほぼ同時に「やっぱり・・・」と呟いたのです。

「なんか、通ってたよね・・・」

「うん・・・」

賑やかにお酒を楽しんでいる私たちが羨ましかったのでしょうか。
きっと『彼』は食器棚のグラスを持って
仲間に加わろうとしていたのでしょう・・・・・・

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