大物

怖い話

大物

投稿者:山魚女さん

フライフィッシングをやっていたとき、ある初対面の釣り士から聞いた話です。
その河はよく大物がつれた河で佐賀、
長崎の釣り士の間では有名な河でした。

いまでは、ダム開発でまったくだめですが。
その釣り士は、まだシーズンには早いものの、
なにかに突き動かされたように車に乗って河にきていたそうです。
そして「釣れるわけないよな」と、思いながら
竿を出して釣りはじめたそうです・・・やっぱり釣れません。

30分ぐらいたった頃、背中に人の気配を感じましたが、もちろん誰もいません。

しかし、なにか変なのです。

怖い感じはまったくしなかったそうです。

というより、「なにか大きなものに見守られている」感じがしたそうです。
さっぱり釣れないので、毛鉤を交換しようと、ある毛鉤を指でつまんだところ、
「ちがうよ」という声が聞こえたそうです。

もちろん誰もいません。
なにかに包まれたような感じのなかで、ちがう毛鉤につけかえ、
フライを河に投げ込んで、すぐにアタリがきたそうです。

ものすごい引きで、糸が切れそうになりながらも引き上げてみたところ、

なんと、38センチもある大山女魚だったそうです。
ふつう、山女魚は18~23センチがいいところで、
38センチといえば天文学的数字です。

鯛だったら、一メートル以上の大物といえるでしょう。

わたしもその話を聞いたとき、信じられませんでした。
東北や北海道の河ならば考えられなくはないが、
九州それも佐賀県のこんな河で? と思いました。

しかし写真を見せられて、納得しました。
その釣り士は 「この山女魚は、河の主に違いない」と思って、
写真を撮ったあとやさしく河に返したそうです。

この話は、ここまでです。
後日、この話を釣り仲間に話したところ。
「38センチ? 信じられん。といいながら、

そうそう、この間、新しく架かった橋から投身自殺があったて、話だよ」

怖いというより、いいなあと思いました。
その大物を釣った釣り士は、まさにその橋の真下で
大物を釣り上げたのでした。
天国の彼女がちっとも釣れない、釣り士を見て、
手助けをしたのでしょうか?

後日その橋にを通りかかったとき、花束が添えられていました。

合掌

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