投稿者:トモさん
この話は私の小学校の同級生うさ子の妹から聞きました。
ある日うさ子とうさ子の婚約者A君、
その友人B君の3人でドライブをしていた時のことです。
急にB君が「U墓地に行こう!」と言い出したのです。
うさ子はかなり怖がりで、激しく抵抗したのですが、
ハンドルを握っていたのはB君なので、
あっという間に墓地に着いてしまいました。
墓地の入り口には小さな管理小屋が建っています。
U墓地は大きいので、お盆になると、
自分のお墓の場所を忘れてさまよう人が出てくるため、
受け付け用の小屋があるのです。
今は季節外れで、誰もおらず、受付の窓には
しっかりと厚めのカーテンが引かれていました。
このU墓地は地元ではちょっとした心霊スポットになっています。
管理小屋のカーテンに、車のライトを数回当てたあと、クラクションを鳴らすと、
カーテンが開くと言ううわさがありました。
当然、B君は車のライトをハイビームにしてカーテンに当て、
クラクションを鳴らしました。
目と耳をふさいで怖がっていたうさ子はいっそう身を硬くしていましたが、
何分たってもなにも起こりません。
「なぁ~んだ、たいしたことないじゃん。」
と、A君が笑い出し、安心したうさ子は
「もう一回してみたら?」
とまで言い出すほどでした。その後、2,3回繰り返しましたが、何も起こらず、
安心した3人は墓地周辺をぐるりと一周してからかえることにしました。
墓地の入り口まで戻ってきたときに、急にB君が
「最後にもう一回やっていい?」
と聞いてきました。緊張感もうすれていたうさ子は
「いいよ。」
とOKし、3人は気楽な気持ちで最後の一回を試したのです。
静かな車内にB君の動く音だけがします。
カチッ、カチッ。
ねずみ色に近い色のカーテンは閉ざされたままでした。
クラクションがやけに大きく響きました。
その時、急に10センチ幅で折りたたまれるように
カーテンが開き始めたのです。
普通はすべるように開くはずのカーテンが、
ペラリペラリとたたまれていくように開いたのです。
「うわぁ~っ!」
「きゃーっ!」
車内はパニック状態になり、B君は大急ぎで車をバックさせると、家路に着きました。
墓地から市内に入るには大きな道路を通ります。
U地区は最近開発された新興住宅地で、
道路が大きな割に夜9時を過ぎるとぱたりと車も人もいなくなるのです。
その大きな通りに入ってから、やっとうさ子は顔を上げることができました。
その時、ドンッという鈍い音がして、B君が、
「しまった!ひいた!」
と叫んだのです。
どう考えても犬や猫のような小さなものではない衝撃でした。
「やだ、事故った?」
3人は車を降りてみましたが、誰もおらず、車も人をはねたような形跡はありません。
飛ばされたのかと、周りの田んぼも探しましたが何もありませんでした。
「でも、確かに轢いたんだ。青い帽子をかぶった女の人だった。
おまえらも感触あったろ?」
「確かに、感じたけど…こんな夜中に帽子かぶってたの?」
「まさか…ゆ、幽霊?」
3人は車に飛び乗り、その日はうさ子の家で震えて眠れなかったそうです。
この体験の直後に私はうさ子の妹から話を聞いたのですが、
一週間もたたないうちに、うさ子の家の商売が倒産。
A君はバイクで事故を起こし入院。
B君も車で大事故を起こし入院、車は廃車になったそうです。
また、倒産の影響から、うさ子は短大を中退し、A君とも婚約解消。
うさ子の自慢だった白いグランドピアノがある豪邸は
あっという間に人手に渡ってしまいました。
また、うさ子の妹も高校受験に失敗し、
居酒屋でバイトしながら高校に通うことになってしまい、
現在音信不通です。
後日談は居酒屋でバイト中の妹と偶然会って聞きました。
霊体験と後日談の関連性はなぞですが、
うさ子にとっては突然の不幸だったようです。
体験をしてから倒産、引越しまでは2週間くらいでした。
近所だったのですが、私にとっては話を聞いた
3日後くらいに夜逃げ状態で、行ってしまいました。
事故もその間に起こったようで、とくにB君は意識が戻らなくて
半年以上入院しなければならなかったようです。
やはり、霊たちの怒りをかったんでしょうかね。