祝詞と神楽歌

怖い話

祝詞と神楽歌

投稿者:さん


僕の母方の祖父は真言密教の僧です。
最近は滅多に会う事がなくなりましたが、
子供の頃はよく遊んでもらっていました。
去年の事です、久方ぶりに祖父に会い色々話しをしていると、
思い出したように祖父が言いました。

「そう言えば、お前、神楽始めたんだって?」

「そうだよ、一昨年くらいから神楽団に入ったんだ。」

そう答えると、祖父は嬉しそうな顔をして
「そりゃあイイ事だな、神楽で使う神楽歌と祝詞には
破魔と除霊の効果があるから、よく覚えておくんだよ」と。
その時は、「へぇ~そうなんだ」としか思わず、
そうマジメに受けとめてはいませんでしたが、

ついこの前実践することになってしまいました。

この前、大学の帰りが遅くなり近道をしようと山道をバイクで通った時です。

ミラーに白いモヤモヤが写りました、「霧かな?」と思いましたが、

その日は月が出ている全くのイイ天気でした。
「霧じゃない、何だ??」と思っていると、
そのモヤモヤは徐々に人の形になり追い掛けてきました。
「うわっ!出た!」とスロットルを回して加速しましたが、
全然突き放せず、それ所かエンストしてしまったのです。
何度やってもエンジンが掛からず、
その人らしいモヤモヤはスグ後ろに立っていました。

実際に走馬灯というヤツを見たのは、その時が初めてです。

その走馬灯のお陰で祖父の言った言葉を思い出しました。

咄嗟に祝詞を口にすると、モヤモヤの動きがピタっと止まりました。

そして、神楽歌の一節を唱えると、そのモヤモヤはスーッと消えたのです。

「助かった・・・爺さんの言った事は覚えておくべきだな。」と思いました。


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