病院のベットの下

怖い話

病院のベットの下

投稿者:coniさん

私の父はもう歳です。

病気がちで何度も入退院を繰り返しています。

今年に入ってからも一度、肝臓の具合が悪くなり緊急入院しました。

検査が終了し、お医者さまが言いました。

「この検査終了後、熱が出ます。熱が出たら呼んで下さい。」

そこで私と母はじっと父の様子をうかがってました。

しばらくして、お医者さまが言ったように父が熱を出しました。

熱はどんどん高くなり、40℃になりました。

あわてて看護婦さんを呼びました。予想外の高熱です。
脇の下や頭に氷嚢を置き、様子を見ます。
母が疲れを見せていたので、私は休憩するように言いました。

その場は私と父だけになりました。

そのまましばらく父のベッドのかたわらでジッとしてました。
丸い座席で背もたれが無い椅子に座り、
足を父のベッドの下に投げ出していました。

すると、なぜか投げ出した足が嫌な感じです。
私は怖い話は大好きですが、恐らく根本では
霊をあまり信じてない方の人間だと思います。

ですから、

「看病疲れかな」

と普通に判断し、何となく足を引っ込めました。
そこでいきなり直感的に
「ベッドの下になんかいる!」と思ったのです。

何でそんな事をいきなり思ったんだかさっぱり解りません。

しかも水が欲しいんだと言う事も一緒に頭によぎりました。
父が病気で倒れているのにこんなことを思うなんて、
本気でどうかしてると思いましたが、

ともかくそのインスピレーションが強烈でした。
しかしそんなことを誰かに言う訳にもいかず…。
当然ベッドの下には何も見えません。

ただ
「絶対居る!」

という確信が頭に出てくるのです。
「ひょっとしたら父が高熱を出しているのも、
ベッドの下にいる奴のせいじゃないのか…?」

など、もう居るという事が前程になっちゃってます。
常識的に考えると、父が高熱を出してうなっているのは
肝臓の具合が悪いせいであって、

霊のせいではありません。
しかしこれも経験と考えなおして、
私はベッドの下の人に交渉を試みました。
まず欲しがってた水を、ペットボトルの
キャップ一杯(我ながらケチ)に入れ、ベッドの下に置きました。
そして足をベッドの下に突っ込んで、心で強く思いました。

(あんたの上に寝てるのは私の父だ。父じゃなく私に来い。水もやっただろ。)
もうヤケクソです。しかも偉そう…。
ある意味完全にヤバイ人です。
でも意識不明の父親以外誰もいないし、誰に迷惑かけるわけでなし、
可能性が少しでもあるなら…と思ったのです。
しばらくして父の熱はひいて意識もはっきりし、
今ではすっかり元気です。
後日談としては、まずキャップに入っていた水は、
私と母が帰る頃には3分の2くらいまで減っていました。

置いてあった時間は1時間程度です。

病院内は暖かいし清潔で乾燥しているせいだと思いたい。

私はと言うと、腰が1週間ほど痛みました。
腰の手術をした事があるので、たとえその日まで
まったく痛まなかった腰がいきなり痛くなったとしても、

それはその持病のせい。と、思いたい。
その後は普通です。
そういう強烈なインスピレーションもほぼ無いです。

脳が勝手に思っているのか、本当にいたのかはもう永遠の謎です。

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