命日

怖い話

命日

投稿者:しのっちさん

祖母が亡くなってから、百箇日過ぎて書き込むつもりでしたが、
すっかり忘れていました。
私の祖母は十数年前、体がだんだん弱くなり、
入退院を繰り返していました。
共働きの私の両親だけでは介護が困難となり、
5年ほど前より実家の近所の老人施設に入所していました。
祖母は私が幼い頃よりとてもかわいがってくれ、
結婚式は寝たきりですから見せてやれなかったのですが、

とても喜んでくれました。
翌年には子供が産まれ、祖母に報告に行きましたが、
ただニッコリ笑うだけで、私の言葉を理解できていなかったようです。

私の実家があるところは山村で、冬は市街地より冷え込みます。
子供が産まれて半年近くたってからのことです。
まだ子供を実家に連れて行ってなかったので、
「寒くなる前に」と実家に行き、途中で祖母に合わせようと
老人施設へ立ち寄りました。
眠っていることが多ので、妻と子供は車に残し、
私が先に様子を見に行きました。
案の定、気持ちよさそうに眠っていたのですが、
祖母の部屋だけ、なんとも生臭い臭いが漂っていました。
妻にそのことを言い、「死期が迫ると臭いを感じる人がいるらしいけど、
まさかねぇ」と話していました。

そして10日ほどたってからのことです。
いつものように会社で仕事をこなしていると、
姉から私の携帯に電話がありました。

「ばぁちゃんが危ないかもしれん」
今まで「今週がヤマかも」と医者に言われつつも、
持ち直すことが何度もありましたので、

私は「今度も持ち直すだろう」とタカをくくっていました。

それから3時間ほどして、また姉から携帯に電話が入りました。

「ばぁちゃん、ダメだった・・・」

急いで帰宅し、妻と子供を連れて車を実家へ走らせました。

不思議なこともあるものです。祖母が他界したその日は、

祖父、つまり他界した祖母の夫の命日だったのです。
棺桶の中の祖母を私の子供に見せると、
気のせいでしょうが、祖母が微笑んだように見え、涙が溢れました。

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