投稿者:不九郎さん
2001年の暑い夏の日の夜の話です。
当時私は仲間と様々な心霊スポットに出かけていました。
廃墟、トンネル、峠、ダム…
噂があれば出かけて行き真夜中に見に行っていました。
何かあったということはありません。
ただ一ヶ所を除いては。
そこは家から車で1時間ほどかかる山にありました。
仲間の1人が、なんだか山の峠道に『霊道』ってのがあって、
そこに行ってみないか?という話でした。
早速仲間で近くの食堂の駐車場で待ち合わせ、
その山に向かいました。
その山は名前も知らないですが、舗装された道路はありません。
ただ、そんなに大きな山ではなく、その道を越えるとすぐに
住宅街に抜ける、といった場所だったのを覚えています。
真夜中の山の中は街灯もなく本当に真っ暗で
私たちは懐中電灯を手に、峠道に入りました。
未舗装の峠道を少し歩くと仲間の1人が
「この辺が霊道らしいんだよな…」と言いました。
するとそれまで熱帯夜の暑さであったにも関わらず、
急に気温が下がったのに気がつきました。
「なんか…急に寒くなってね?」
仲間も変化にすぐに気がつきました。
エアコンがガンガンに効いた部屋に急に入った、
そんな感覚でした。
さっきまで聞こえていた虫の鳴き声も聞こえません。
辺りはしーーーんとした闇。
「変だよな、なんだよこれ」
それまで心霊スポットで体験したことのない、感覚でした。
バタッ
仲間の1人が急に倒れてしまいました。
「どうした?」
倒れた仲間に駆け寄ると、
バタッ
さらに仲間が1人倒れました。
そしてまた1人倒れ、仲間は6人中3人倒れて動けなくなりました。
倒れた仲間は意識はあり、峠道に座り込んだ状態で動けなくなり、
半ばパニック状態になりました。
なんとかここを抜けなければ…と仲間を支えながら、
峠道を進みました。
峠道を抜けた時、住宅街の明かりがこんなに暖かいものだと
少し感動していると、気温も先ほどの熱帯夜に戻っていました。
倒れた仲間に聞くと突然なんだか引っ張られる感覚がして、
気分も悪くなり、動けなくなったと言ってました。
何か所も行きましたがこんな事は初めてです。
今でも「霊道」というキーワードを目にすると
あの暑くて寒い夜を思い出します。