地獄絵図

地獄絵図 怖い話
地獄絵図

地獄絵図

投稿者:炎志紀さん


老人施設での一件から二年経った時のこと。
私の家の近くには神社が有るのですが、

その神社はお寺と隣り合わせに建っており、
丁度二つの建物を繋ぐ所にお墓が有りました。
その光景は毎日見ようと思えば見えるのです。

何故ならそこは家の台所の窓の正面ですから…。

そして事件があった日。
その日父は町内の仕事(?)で、朝から同じ町内の人たちと
その神社の掃除に行っていたのですが、
昼になっても帰って来ないので、母が
「町内の人たちと神社の休憩所で飲んでるんだわ!

まったく…ちょっと行って呼んできてちょうだい!」とカンカンだったので、

私はしょうがなく自転車でそこまで行きました。
その神社は山に建ってるので、神社まで長い階段があり、
私は自転車を降りて階段を登りました。
階段を登ると、正面に神社があり、左側に廃屋っぽい建物が有り、
右側にはお寺に繋がる墓所が有りました。

昼間とは言え、山奥にある神社はやっぱり不気味です。
私はさっさと探して早く帰ろうと思い、父達が居るだろう
休憩所に行きましたが居ない…

何処だろうと思いながらあちこち探し始めました。
しかし、神社の敷地を全部探しても見つからず、
「もしかしてお寺の方かな?」と思い、
あのお墓を通ろうとしたとき、その入り口に
小さな物置のような物があるのを見つけました。
その横には『地獄絵図保管庫』と書かれた看板があり、
私は妙な予感がしたので、すぐにその場から離れました。
それから、墓の前でお辞儀をしてからお寺へと向かいましたが
やはり父達は居らず、私はまた元来た道を戻りました。
そしてまたあの倉庫の前に来たとき、

私は何故か立ち止まってそれを見続けていました。

すると次第に私の頭の中へと、一つの映像が流れてきました。

その映像は、狭い倉庫の中一面に地獄絵図が貼られており、

その真ん中に白い狐のはく製が有る、というもの…

つまり私がその時見つめていた倉庫の中身の映像だったのです。

でも私は倉庫を見つめてはいましたが、その戸はしっかりと鍵が掛かっていましたし、

勿論私はその中を見たことは一度もありません。

私は段々怖くなり、早く家に帰ろうと前へ進もうとしたその時、

あの廃屋からお経のようなものが聞こえてきました。

私は父達の話し声かと思い、近くへ寄って窓を覗きましたが誰も居なく、
聞き間違いかと思って立ち去ろうとして顔を上げた瞬間、
窓ガラスに映った自分の肩に真っ白なボロボロの服を着た、

青白い、目の吊り上がった女の人が…!

私はその場で固まり、窓に映ったその人と暫く見つめ合いました。
その状態が十分位続いた後、女の人はニィーっと笑ったかと思うと
すぅっと消え、私はやっと動けるようになりました。
走って階段を下りようとしたときにふと、
肩に何か有ることに気付き肩に触ってみると、
なんとそこには、明らかに私のではない、1m位の長さの髪の毛が…

私はその髪の毛を振り払い、急いで家へ帰り、母にこのことを話し、

二人で必死になって前回同様塩を蒔きました。

しかしその次の日から、私はとんでも無い目に会い続けました…

一番初めは、学校での調理実習中に友達が誤って包丁を落としてしまい、

私の足ギリギリの位置に刺さったこと。
その次は、学校の中庭で遊んでいたときに、
何処からかハサミが落ちてきて私の手を血まみれにしました。
しかし、その時ベランダには数人しか居らず、
どの人も、ハサミを持っていたり、
持った人を目撃したという人は居ませんでした…
では一体あのハサミは誰が何処から…?

そんなことが続いたある時、母に衝撃的なことを言われました。
なんと、あの倉庫には御稲荷さんが祀られており、
先日役場の人数人が何かの企画でその写真を撮りに行き、

その帰りに事故に遭い、写真を撮った人だけが亡くなったということでした…。

その後、霊媒師さんに御祓いをしてもらい、一旦は収まりましたが、
今年山形の有名な霊媒師さんを訪ねたところ、
私にはまだ御稲荷さんや他の霊が憑いているそうです…

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