投稿者:山猫さん
以前 勤めていた職場で 納得のいかない経験をしました。
その時の 話です。
昨年の春、私は 新規開業の会計事務所に採用され 働くことになりました。
古い三階建てのビルの一階に 事務所はテナントとして入っていました。
通い始めて まず 目に留まったのは、天井に貼られた
「雲」と書かれた古い半紙でした。
それを見て思い出したのは 幽霊のでる友人の家にも
同じ物が有った事です。
お払いに来た霊能者が 置いていったとのことでしたが、
神仏の上に貼る事もあるらしいので、
神棚でも祭ってあったのだろうぐらいに思い、
深くは気にしませんでした。
が、職場にも慣れてくると いろいろな事が気になりだしました。
仕事中に背後からさす人影に振り向いても誰もいなかったり、
天井付近から聞こえるパシッという音、
発生元のわからない腐敗臭・・・音と臭いは職場の者
全員が気にしていたようですが、
古い建物だからと言う事で決着していました。
他にも 給湯室に入っていく 居るはずのない男性の後ろ姿を見たり、
誰もいない時に 耳元で鼻をぐすんと鳴らされたりと
変な事は続きましたが、全部 「気のせい」で済ましていました。
ところが ある夜、帰宅してから「それ、どうしたの?」と家族に
腕を指さされました。
見ると二の腕に 青痣が数箇所。
よく見ると 後ろから捉まれたような形で指の跡も
五本分ちゃんとあります。
痣が残る程 強く腕を掴まれたら 覚えているはずなのですが、
そんな狼藉者に心当たりはありません。
やっぱり、気のせいじゃなくているのかも・・・
そう思い始めると、気になるのは他の階のテナントです。
二階や 三階では どうなのか。
まさか「おばけ出ますか?」などと聞くわけにもいきませんので、
ひとりで偵察に行く事にしました。
二階は学習塾、なんの変哲もなさそうなので
めざすは三階の空き部屋です。
立ち入り禁止のロープを乗り越えて侵入成功、いざ 三階へ。
入って驚きました。
壁は ボロボロ、備品は散らかり放題のまるで廃虚です。
思ってもみなかった展開に私は逃げるようにして
階下へ駆け下りました。
お化けがいるかもしれない事務所よりも
三階のプチ廃虚の方が気味が悪く、
こんな所の下で毎日 仕事をしていたのかと思うと
そちらの方がショックでした。
そしてさらにショックは続きました。
事務所開業から 半年後の秋、雇用主である先生が亡くなられました。
突然死という納得のいかない死因でした。
事務所は解散し、その後には 某有名企業の営業所が入居しました。
先日、事務所のあったビルの前を通りましたら、
その営業所は シャッターが閉まったままでした。
閉鎖するのでしょうか。
二階の学習塾もなくなり、三階とともに入居者募集の
貼り紙が貼られていました。
ここで経験した事は 偶然の積み重ねだったのでしょうか。
心霊現象だったのでしょうか。
どちらも断言できませんが、今後も このビルに注視しないではいられません。