「夢」の記憶

怖い話

「夢」の記憶

投稿者:慧音さん

幼い頃の私は冬になると毎年のように
風邪を引いては熱を出していました。
今でこそ「36℃ちょい」と人間並みの
体温を持つ私ですが、
……当時の私の平熱は35℃程度。
37℃を越えると、もう完全に頭ン中完全
「ハイホー状態(死語)」で吐きながら笑ってたりしました。
(危険だ…。)
その時の熱は完璧38℃を越えていたと思います。
私は当時の自宅で最も天井が高い部屋に
寝かせられていました。
そのガラス戸一つ向うでは実父が近所の病院に
電話をかけています。
起き上がる気力すらなく、呼吸も苦しく、何だか全身
(今思えば筋肉痛っぽく?)変に痛い。
更にコタツに突っ込まれた上、布団を2枚も被せられ
そこから出る事も許されない(高熱出してるんだから当然)
とあり、…ひたすら暑い。

そしてやたら耳障りな電話(と言うか実父)の声。
苦しい、煩い、……暑い!熱い!あつい!くるしい!うるさい!
不意に、音が消えて、身体が楽になりました。
そして心地好い浮遊感を感じたと同時に何故か
あの高い高い天井の板が、鼻先へ…。
「…おおおおお!?」
―――何か、楽しくないか、コレ!?
はっ!とした次の瞬間、再び私は布団に包まってました。
「…あれ?」
同時に不快な感覚も一気に戻って来やがりました。
「~~~~~!」
コレをその後2回ばかり繰り返した覚えがあります。
……ええ、楽しかったです。とても。
その後、子供なりに何度かあの楽しい体験を
しようと試みたのですが 巧くいきませんでした。
最近思うのです。
この「夢」は世間で言う「臨死体験」とか「幽体離脱」とか
言われる現象に酷似していないか?と。
この「楽しい夢」。
ひょっとしてあの時、私は死に掛かっていたと
言う事なのでしょうか?
だとしたら……
ひょっとして、次にあの「夢」を見る時、
それは、私の寿命が尽きる瞬間なのかもしれません。
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