見えない敵意(後)

見えない敵意(後) 怖い話
見えない敵意(後)

見えない敵意(後)

投稿者:B-HEARTさん

『見えない敵意(前)』の翌日、依頼主の女性に、
事の次第を伝えました。
流石に同僚の生霊だった事にショックを
隠しきれない様子でした。
私:「とりあえず、今度の日曜に
私の師匠を連れて来ますから、時間を空けて下さい。
それと除霊に際し、同僚の方に何等かの
変化が有ると思いますが、同情は無用、
貴方は貴方のまま普通の生活を送ってください、
いいですか?」
私の問いに女性は答え、携帯番号を交換、
プライベートで会う事になりました。
晴れ渡った青空の下、唐津市内の某所を
待ち合わせ場所に決め、私と師匠は女性と合流、
どうやらお坊さんを連れて来ると思っていたらしいが・・・。
とりあえず近くに在った神社に移動、
其処で仕事を始める事にしました。
師:「祭神はスサノオさんか・・」
師匠は拝殿の前で手を合わせ、神を降ろし加護を仰ぐ。
次に拝殿の前に女性を立たせ、その背中から
生霊を一体一体外してゆく、そして私の肩に憑けたヤツも含め
近くの狛犬に縛りつけ、全ての除霊が終了しました。
女性:「こういうのって、結構苦しんだりとかしないんですね」
師:「あぁ、実際テレビでやってる様な事(除霊の際、
憑依者がもがき苦しむ様を他に見せたりとか)
しなくたって外せるものなんだけどね。。」
私:「そういう事が出来ればお金が取れるんだけどね、
お金が絡むと人間がキタナくなるからね。
だから俺等はタダで遣ってるんですよ。。こう云う事」
こうして依頼者の女性は普通の生活に戻っていきました。
私も電話帳から女性の番号を削除し、
師匠と帰路に着きました。
こういう霊関係の出会いは一期一会、
助けるのも一度きりと決めてますから。
私:「でも何で狛犬に縛りつけたの?」
師:「あぁ、あれね。消すのも返すのもダメなら
放置しか無いからね」
私:「あぁ・・そういう事か」
師:「此れから先、あの女性を恨む度に
狛犬しか思い出せなくなるんじゃねぇ?」

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