福岡県某所
個人所蔵
先の「河童の手4」を見せて頂いた方の紹介により
もうひとつ河童の手を見ることができた。
こちらもかなりの名家でやはり代々河童の手として伝わっているのだという。
この河童の手に皮がほとんど残っていないが、「河童の手4」と同じものだったという。
この手は左手。
五本指であったが一本取れて無くなってしまったのだと言う。
この河童の手にはこのような伝説がある。
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江戸時代、この家の当主の奥方が厠(トイレ)に入っていたところ、
厠から手が出てきてお尻をなでられた。
驚いた奥方が刃物を手に再び厠に入った。
手が出てきたところで奥方は刃物で切り落とした。
その日から夜な夜な河童が家に来て手を返してくれと頼むが応じなかった。
河童の手は桐の箱に納められた。
しばらくしてこの家に河童の手があるという話が広まり、
見物に来る人が増えた。
主人は頼まれるまま河童の手を見せていたが、ある日河童の手を盗まれてしまう。
ある日主人が近くの神社の見世物小屋で「河童の手」を見た。
紛れも無く盗まれた河童の手であった。
見世物小屋の者に返せと言おうか迷った。
「はたして返してくれるだろうか。見世物小屋にはこんなに人がいて繁盛しているのに」
思い切って主人が見世物小屋の者に言うとすんなり返した。
見世物小屋の者はこう言った。
「この手を持ち帰って以来、眠ると胸が苦しくて、目を覚ますと
『ヒィ~返せ~!!』
と、気味の悪い声がして・・・おかげで寝不足なのです。」
こうして河童の手は元の桐の箱に戻った。
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河童の手が納められた桐の箱