投稿者:マスターさん
「それ」はあらん限りの力で襲い掛かってきます!
時折発する奇声と恨み辛みを織り交ぜて、
ねちゃねちゃ口を動かしながらヨダレを垂らしています。
前回と違うのは、「それ」の力が女のものであり、
何とか組み伏せる事が出来る、
そして途中途中で我にかえるのである!
「彼女」は何度か我にかえる度に、不思議そうでいて
怯えた顔をして私を見つめます。
きっと何がなんだか解らないのでしょう。
しかし私も訳が解らない状態なので、掛ける言葉が見つからないのです。
三度四度と狂った様に襲いかかるも「それ」も体力の限界らしく、
ハアハアと激しく肩で息をしているかと思っていたら
そのうち布団に潜り込んで眠ってしまいました。
朝まで部屋の隅で座り込んで、私は「彼女」を見つめていました。
もちろんあれから一睡も出来ず、起こった事の整理を
頭の中で懸命に繰り返していました。
9時丁度に目覚ましが鳴り「彼女」は目を覚ますと、
私を見つめてこう言いました。
「何やってんの?そんなところで!」
そうです、前回の事件と同じく「彼女」は
まったく何も憶えてないのです。
それからとゆうもの、毎週彼女は土曜日の深夜になると
「それ」となり、容赦なく襲い掛かってきました!
何度も何度も、毎週毎週・・・恨みを持って。
3ヶ月ほど「それ」との戦いが続き、誰にも相談できずにいた私は
心が疲れ果ててしまい、
理由も解らず痩せてしまった彼女についに切り出しました。
「婚約はなかった事にしてほしい、、、別れたい」と。
何も憶えていない彼女は泣きわめき、私にしがみ付きます。
でも、それ以上の判断はあの時の私には出来ませんでした。
「他に好きな人ができたから・・・・・」
ありきたりな裏切りの理由に彼女、彼女の両親、友達は激怒し、
私の両親も友人達もしばらくは冷たい目で私を見続けました。
そして何度も何度も話し合い、私達は別れました・・・・
不思議とそれ以降は類似した事件は起こっていません。
破談とゆう結果に「それ」は満足したのでしょうか?
それともまだ・・・
今でも時折、どうか彼女が幸せになりますようにと
心の中で祈っています。