うしろの気配

うしろの気配 怖い話
うしろの気配

うしろの気配

投稿者:ユーリカさん


前に勤めていた会社での話です。
従業員十数人の小さな会社で、
営業や配送の人が出掛けると、事務所には3人しか残りません。
当然事務所も狭く、なぜかいつもブラインドが
下ろしてあるので、昼間でも薄暗いんです。
そこの会社は給湯室もなく、事務所の一角を
アコーディオンカーテンで仕切って、
そこでお茶を入れたりしていました。 ただでさえ薄暗いのにアコーディオンカーテンで仕切って、
しかもそこは階段の裏側になるので、
「蛍光灯のひとつでもつけて欲しい」といつも思っていました。
入社して初めての夏のある日、
その狭苦しい所で洗い物をしていた時です。
フッとうしろに人の気配を感じたんです。

ちょっとゾッとするような感じでした。
その時は「主任が飲み終わったカップでも置きに来たんだろう」と
思いましたが、カップはありませんでした。
それに主任が立ち上がればイスがきしむ音くらいします。
「なんか嫌な感じだなぁ」と思いつつも、
気のせいにして洗い物をしていました。
でも、その気配はそれから続いたんです。
それも、だんだん強くなる・・・。 とうとうその気配は私におおいかぶさるような
真似をするようになりました。
ゾクッとして「来た!!」と思うと、ばっとおおいかぶさるように、
でも体に触れる瞬間に気配は消えてしまうんです。
あまりに頻繁に続くし、気味が悪いので先輩に話してみました。
「やっぱりあんたも感じる?私もなの」
と言うんです。
先輩が洗い物をしている時に
「きゃああああっ!!」

と叫んで飛び出してきた事もあります。
気配は日増しに強くなり、ついには影まで
見えるようになりました。
ほんのすぐうしろ、体に触れそうで触れない位置に
ピッタリとくっついています。
とうとう我慢できなくなって
「先輩、私もう気味が悪くて・・・。どうしよう。」と相談して、
社長に蛍光灯をつけてもらうように頼んでみましたが、
つけてもらえませんでした。
秋になるとだんだん気配は薄れて、冬には全く感じなくなりました。
実はこの体験は私の前にいた女性も感じていたのだそうです。 3人も同じ体験を何度もすれば、
もう気のせいではありませんよね。
不思議な事に、この気配は男性や年輩の女性には
解らないらしいのです。
最近、事務所を移転しましたが、
前の事務所はまだそのままになっています。
今でも夏になると、ああやって人を待っているのでしょうか。

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