投稿者:桜さん
これは、私が大学生だった頃の話です。
高校からの友達と3人で、旅行に行こうという事になりました。
三人とも人の多いところは苦手だったので、
夏休みの時期を避け、9月の中頃に湯布院に行くことにしました。
授業を終え、時間がギリギリだったので同じ学校だった友人と
タクシーに飛び乗り駅へ向かい、湯布院に向かうバスの中で
もう一人の友人と無事合流して一路湯布院へ。
宿に着いたのは6時を回った頃でした。
美味しい食事、露天風呂・・・湯布院を満喫して部屋へ戻り、
のんびり寛ぐ私たち。
部屋は一軒ずつの離れになっており、とても静かでした。
夜も更けて、そろそろ寝ようかと布団に入ったのは
何時頃だったでしょうか・・・
疲れもあってか、私たちはすぐに眠りにつきました。
まず最初に目が覚めたのは桜でした。
薄明るい部屋で、ぼんやりと時計を見ると6時を少し回ったくらい・・・
両隣に寝ていた友人たちは、まだ起きてはいない様でした。
もう少し寝ようかと体の向きをかえたとき、なにやら音が聞こえてきました。
聞き覚えのあるメロディ・・・朝の放送か何かかと、
特に気にしていなかったのですが、
そのメロディがなんなのか気付いた時、かすかな違和感を感じました。
その時、あとの二人も目を覚まして、
お互い無言で目を合わせて首を傾げてしまいました。
桜「ねぇ・・・これって、朝の放送かな?」
N「・・・こんな曲使う?」
E「いや・・・もっと爽やかな曲使うやろ、普通・・・」
子供の合唱のようなかすかな音は、途切れることなくずっと流れています。
桜「・・・朝から聞く曲じゃないよね」
N「確か、これって怖い意味があったような・・・?」
E「・・・・・・寝よう」
私たちは、何事もなかったようにもう一度布団を被り、
2度寝に突入しました。
その後は何事もなく残りの行程を無事終了し、
無事帰ることができました。
謎の放送のことには暗黙の了解でもあるかのように
触れることもなく・・・・・・
後日談。
数年後のある日のことでした。
旅行に行きたいという話の最中に
「湯布院」という地名が出たので、居合わせたNに、
「そういえば、あの謎の放送・・・」
と話題を振ったところ、Nから意外な答えが返ってきたのです。
N「湯布院じゃ、あんなの・・・早朝放送とかしてないらしいよ・・・
地元の人に聞いた」
桜「・・・・・・なんで今頃そんなこと言うんだよ・・・?」
N「だって、一人でそんな事実知ってると気持ち悪いから・・・」
桜「・・・・・・そりゃそうだよね・・・かごめかごめ・・・だったし・・・・・・」