投稿者:まんちゃんさん
昭和30年代、その事件は起こりました。
S市の郊外で山間にある一軒家で母と娘がつるはしで滅多打ちにされ、
殺される残忍な殺人事件がありました。
結局この事件は、時効が成立して犯人は捕まりませんでした。
この事件後、この家には様々な怪奇現象が起こることで
S市で知らない人はいないくらいでした。
ある時は海上自衛隊員が肝試しをして病院送りになったとか、
この家の前の道路で親子連れの幽霊を見たとか、
裏の竹やぶで娘の幽霊が地元の人を睨みつけていた等など・・・。
昭和55年に私もこの廃屋に行って確かに何かがいる気配は感じました。
その時はそれ以上関わらずに逃げて帰りました。
その後、高校を卒業して仲間数人でドライブがてら現地に行ってみると、
既に廃屋は解体され、更地となっていましたが、
やはり付近の空気はどんよりとしていました。
「もうこのくらいで帰ろう」
との私の問いかけに友人もしぶしぶ応じましたが、
何度車のキーをまわしてもエンジンがかかりません。
セルモーターすら回らないのです。
一同パニックになりました。
その廃屋あとのまん前に公民館があり、
そこを訪ねて行ったところ、
「興味本位で来るからだよ。」
と、管理人さんからしかられ、近所の農家の耕運機で
引っ張ってもらうことにしました。
ところが、さっきまでまったくかからなかった
エンジンが一発でかかったのです。
わたしたちは、お互いに顔を見合わせましたが、
誰も何も語ろうとはしませんでした。