見えない同居人

怖い話

見えない同居人

投稿者:小梅さん


これから、お話する内容は結婚する前、

北九州市で一人暮らしをしているときに体験した話です。

北九州市八幡西区、新築の2階建てのアパートの2階、
私は3つ部屋が並んだ真ん中の部屋に住むようになって
ソレはスグに起こったと思います。
私の部屋は2部屋あり、そのウチの一部屋に
ロフトがついていましたので私はロフトで寝ていました。
布団に横になっていると隣の居間から、
床を踏みならす音が聞こえるんです。

私以外にはいないのに。
最初、隣の人かな・・・と思って気にもしませんでしたが、
その音は毎晩のように聞こえました。

が、ある日、私は気がついてしまいました。
どんなに乱暴に歩いても飛び跳ねても床を踏みならすような
「ギィ、ギィ」という音がしないということに。

「ああ、誰かいるんだ。でもイヤな感じはしないから悪い人じゃないね。」

そのうちに「今、キッチンにいる」とか「トイレの前にいる」
など気配がハッキリと感じるようになり誰もいない
キッチンでは音もときおり聞こえてきました。
子供の頃から、音や気配といった経験はあったので別段、
怖いといったこともなく、放っておきました。
今度は、部屋の中にある2つある引き戸のウチ、
ひとつだけが強い風でも受けているように、

けっこう激しくガタガタと揺れるようになりました。
時間にして、大体30分くらい、長いときで1時間くらいだったでしょうか。

この時、部屋の中は締めきってあるので、
空いているところもなければ震動するような
大型車が通っているわけでもありません。

(住宅街なので道は狭い)
そしてガタガタと震動しているのは、
2つある引き戸のうちひとつだけなのです。

見えない同居人は、すこしずつ自分の存在をアピールするみたいに

音や気配が段々と強くなってきていました。
床を踏みならす音も、引き戸の音も昼夜関係なくしていました。
ある時などは、テレビの両脇に観葉植物が置いてあったのですが、
そのうちのひとつ だけが風に揺れているように
サワサワと揺れているときもありました。

もちろん、空いている窓などありません。

それから、一年くらいたった夏、ロフトで寝るのは暑いので
ベランダのガラス戸を網戸にして窓のすぐそばに布団を敷いて、
さあ寝ようと横になりかけた時、ベランダに誰かがいるんです。

一人ですからあの時はホント、怖かったです。
「泥棒?ちかん?」と思いながら、
覚悟を決めてベランダに勢い良く飛び出しました。

誰もいませんでした・・・・・

「あっ、ウチにいる見えない人は男の人だ、それも若い」

となぜはわからないけど頭に突然、浮かびました。

そのうちに家の中から気配は消えました。
不思議に思っていると、今度は私の視界の端に
黒い影の様なモノが見え隠れするようになり、

もしかして今度は部屋じゃなく、私についた?

と霊体験のあるバイト先のママに一部始終を話してみました。

が、「霊感あるのよ」と言われただけで何となくその話は、終わりました。

そんなことがあってどれくらい経ったか記憶にないのですが、

ある時仕事をしていてスゴク気分が悪くなったんです。

当時、某スーパーでカウンター業務をしていたのですが、

頭の上と肩に何かが乗っているようにスゴク重い・・・

おまけに座っていても腰の所も重いというか何かヘン。

で、歩いたら腰に子供でもぶら下がっているみたいな重さが・・・・。

「○○さん、顔色スゴク悪いよ、帰った方がいいよ」

と同僚が私の様子を見て声をか けてくれました。
2、3回そんな風に心配して声をかけてくれたので
私も重いからだを引きずって部屋に帰り、

布団に横になったのですが横になったら体が起こせない。

金縛りではなく、とにかく体が重い。

でも、熱はない。

重いからだを、ようやく起こしてバイト先のママ(夜のバイト先)に電話をして、

こういう訳なので今日はバイトに行けない・・・と話しました。
するとママが、知り合いにそういう事に強い人がいるから
今電話する、といって電話を切り、

それからその方から電話が入りました。
そこで不思議だったのが、その方(年輩の女性)が
いうには私に会わなくても生年月日、
住所等で私についている人が何なのかわかる・・・・
ということだったんです。
で、今から祈祷をはじめるので段々、
体が楽になるからと言われ、電話を切って横になっていました。

すると、今まで重かったモノが足の先からス~~ッと引いていく感じがあり、

さっきまでのことがウソのように体が軽くなっていきました。

「ホントに、こんな事ってあるんだなぁ・・・」とつくづく思いました。

次に日、その祈祷をしてくれた方から電話が入りました。

「貴女の所に来ていたのは、お母さんの方のご先祖様で、
あまり供養してもらえなくて供養して欲しくて、
いろんな人の所に行ったけど気がついてもらえず、

最後に貴女の所に来たのよ。
その人、若くして病気で亡くなっている、
そうねぇトシは25,6才かしら・・・。」

私、絶句してしまいました。
私の頭の中にひらめいた事と一致しすぎ・・・・
私は今まで音や気配を感じることはあっても突然、
頭の中に~だ、みたいな事はなくて、しかも当たっているなんて。
話には聞いたことがあっても自分がソレを体験してしまうと
何とも言えない不思議な気分でした。

最後、その方はこう、おっしゃいました。
「憑かれたなんて思っちゃダメよ。
貴女を頼ってきたんだから頼られた、と思いなさい。

これから、しばらくはお線香とお水をお供えしてお祈りしなさい。」と。
私は、それから言われたようにお水と
お線香を毎日たいて、お祈りしてました。

でも、部屋の中に再び彼がいるんです。

相変わらず、姿は見えない(見せない?)のですが。
ただ、今までと違ったのが雰囲気・・・・
今までとはあきらかに雰囲気がちがうんです。

今、キッチンにいるとか引き戸の後ろにいるというのはわかるのですが、
そこから漂ってくる彼の雰囲気見たいなモノが
おだやかな感じで喜んでくれてるのかな・・・

と思いました。

でも、まだ彼は部屋にいました。

ある晩、一人でテレビを見ていたら、
もう一つの部屋とつながっている引き戸がまた
ガタガタと揺れはじめたんです。

で、私、今まで本で読んだような事を試してみたんです。
「あなたは、私の母のご先祖様なのですか?
ハイなら戸をひとつ、たたいて下さい、

ちがうのなら戸を2つたたいて下さい。」

ドン!

「あなたは病気でなくなったのですか?」

ドン!

「私が今していることで満足してもらえているんですか?」

ドン!

「じゃあ、どうしてまだ、ココにいるのですか?」

・・・・・・・・・・・ ここで、音がしなくなってしまいました。
思わず聞いてしまった最後の質問ですが
音だけでは答えようないんですよね、後から思いました。

それから、しばらくして彼の気配は一切、なくなりました。
翌年のお盆の時、お線香と水、そしてお供え物を
テーブルの上に用意して置いたら彼が帰ってきました。

そして3日後くらいに帰った行ったようです。
7年くらい前の話ですが、今思うと不思議なのは
彼は私が寝ている周囲には近づいてこなかったこと。

寝ているときはその部屋には入ってこなかった様です。
また、昼間でも私のスグ傍には来ず、
常に一定の距離を保っていたような気がします。

そして、姿をみせなかったことです。
せめて、名前くらい教えてくれれば
もっと供養の仕方もあったのでは・・・・と思います。
私にとって今までで一番強烈な体験でしたが
不思議と怖くない経験でした。

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